AI半導体需要で熊本が主戦場に TSMCの7兆円投資が供給網を再設計

2026年2月10日、台湾の半導体大手台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県で開いた取締役会で約7兆円の設備投資を承認した。台湾メディアが報じ、日本での開催は初。AI需要の拡大が背景にある。
熊本で7兆円投資、AI需要が背景
TSMCは全社で449億6200万ドルの設備投資を承認し、先端半導体の生産能力拡張や新工場建設に充てる計画を示した。需要予測と技術開発の進展を踏まえた判断で、今後も追加承認が行われる可能性がある。
2026年1月の売上高は前年同月比36.8%増の4012億台湾元となり、AI関連の需要が成長をけん引したとみられる。売上高と純利益が過去最高となった2025年の勢いが継続している形だ。
熊本第2工場では回路線幅3ナノメートル(※)相当の半導体生産が検討されており、日本国内での先端製造拠点の役割が一段と高まる見通しとなった。
※3ナノメートル:半導体の回路線幅を示す指標で、数値が小さいほど高性能・低消費電力となる。AIやデータセンター用途では処理能力と電力効率の両立に直結し、最先端プロセスの競争力を左右する。
供給網強化の恩恵と投資競争の行方
今回の投資は、日本における先端半導体の供給体制を底上げし、関連産業や地域経済への波及効果を生む可能性がある。部材や製造装置など周辺産業の需要も拡大し、国内の産業集積が再評価される契機となる可能性がある。
一方で、巨額投資に依存する構造は、市況変動の影響を受けやすいと指摘されることが多い。AI需要が鈍化すれば設備稼働率の低下や投資回収の長期化につながるリスクもある。各国の補助金政策や人材争奪が激化すれば、企業のコスト負担が増す懸念も残る。
今後はAIやデータセンターの拡大に伴い、先端半導体の供給拠点を巡る競争がさらに強まる可能性がある。日本が製造拠点としての地位を確立できるかは、継続的な投資や技術連携、サプライチェーンの強靱化など複数の要因に左右されるとみられる。
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