エヌビディア、トランプ政権の対中半導体輸出規制でAI需要減退を懸念

2026年2月5日、ロイターによると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が関係筋の話として報じた米半導体大手エヌビディアが、米国の対中半導体輸出規制が厳格すぎるとして、需要減退の恐れをトランプ政権当局者に伝えていることが分かった。
エヌビディア、対中規制でAI半導体需要減を警告
報道によると、エヌビディアは米政府当局者に対し、人工知能向け半導体「H200」(※)の中国向け販売を巡る新たな輸出規則について、要件が過度に厳しいとの認識を示した。規制の対象となる顧客には、アリババ・グループ・ホールディングや字節跳動(バイトダンス)といった中国の主要テック企業が含まれる。
新規則では、性能や用途に関する条件が細かく設定され、事実上、商業的な取引成立が難しくなる可能性があるという。エヌビディアは、こうした制約が中国市場でのAI半導体需要を大きく損なう恐れがあると指摘した。
さらに同社は、トランプ政権が検討している対中半導体輸出に25%の「手数料」を課す構想にも言及した。需要そのものが縮小すれば、手数料徴収の前提が崩れ、政策目的の達成が困難になるとの見方を示している。
今回のやり取りは、米中間で続く先端半導体を巡る緊張の中で、企業側が実務的な影響を直接訴えた動きとして注目される。
※H200:エヌビディアが提供する生成AI向けの高性能GPU。大規模言語モデルの学習・推論処理に用いられ、中国企業からの需要も高い。
規制強化の影響 産業競争力と安全保障の綱引き
対中輸出規制の強化は、米国の安全保障を重視する政策として一定の合理性を持つ。
一方で、エヌビディアのような企業にとっては、市場縮小という明確なデメリットを伴う。
中国は依然として世界最大級のAI市場であり、需要減退は業績や研究開発投資に影響を及ぼす可能性がある。
長期的には、規制が中国企業の国産半導体開発を後押しし、米国製品への依存度を下げる結果につながる恐れも否定できない。これは米企業の競争優位を弱めるリスクと言える。
今後は、安全保障と産業成長の両立をどこまで図れるかが焦点となる。エヌビディアの懸念表明は、対中半導体政策の実効性と副作用を再考する材料となりそうだ。
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