アンソロピックが検討、従業員保有株の現金化を可能に AI人材戦略の新局面

2026年2月4日、米AI開発企業アンソロピックが評価額3500億ドル超で従業員保有株の売却を可能にする計画を進めていると、ブルームバーグが報じた。大型資金調達と並行した動きであり、米国発のAIスタートアップを巡る人材・資本戦略の変化が鮮明になっている。
アンソロピック、従業員株を現金化可能に
ブルームバーグによると、アンソロピックはテンダーオファー※を通じ、従業員が保有する株式の一部を売却できる取引を検討している。
評価額は少なくとも3500億ドルとされ、現在進行中の200億ドル超の資金調達ラウンドと同水準のプレマネー評価で協議されているという。関係者はいずれも非公開情報として匿名を条件に証言している。
この取引が実現すれば、アンソロピックの従業員は非公開企業のまま高い企業価値を持つ自社株を現金化できることになる。
同社は世界でも最も高い評価を受けるAIスタートアップの一角とされており、従業員へのインセンティブ設計としても象徴的な動きと言える。現時点で同社は公式コメントを控えている。
なおテンダーオファーの詳細条件はまだ確定しておらず、評価額も資金調達の進展や市場環境次第で変動する可能性がある。計画は流動的であり、最終的な取引規模や参加条件には調整の余地が残されている。
※テンダーオファー:企業や投資家が特定条件で株式の買い取りを提示する取引手法。非上場企業でも従業員株の流動性確保に用いられる。
AI業界で進むセカンダリー取引拡大
従業員株を対象としたセカンダリー取引の拡大は、AI業界全体の構造変化を反映している。AI分野では人材獲得競争が激化しており、株式報酬をいかに魅力的に設計できるかが企業成長の鍵を握る。
上場を先送りする大型スタートアップが増える中、現金化の機会を設けることは優秀な人材の定着につながると考えられる。
実際、ストライプやスペースXは過去に複数回のセカンダリー取引を実施している。
アンソロピック最大の競合とされるOpenAIも2025年10月に評価額5000億ドルで66億ドル規模の取引を行っている。これらの事例は非上場のままでも流動性を確保するという新たな選択肢を示していると言えるだろう。
一方で、高評価額が常態化することによるリスクも無視できない。期待先行で企業価値が膨らめば将来的なIPO(※)や次回調達時に調整圧力がかかる可能性がある。アンソロピックの今回の動きは、AIスタートアップが成長と人材戦略をどう両立させるかを占う試金石になる可能性がある。
※IPO:新規株式公開。未上場企業が株式を証券取引所に上場し、一般投資家が売買可能にすること。
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