PayPal、新CEOに元HPのCEOを招聘 決済×AI戦略の再加速へ

2026年2月3日、米決済大手のPayPal Holdingsは、新たな最高経営責任者(CEO)にHP元CEOのエンリケ・ロレス氏を起用すると発表した。
発表は米国で行われ、競争が激化するデジタル決済市場における成長戦略の立て直しが主眼となる。
PayPal、取締役会主導でCEO交代を決断
PayPalは取締役会の決定として、2026年3月1日付でロレス氏を社長兼CEOに任命する。ロレス氏は約5年間にわたり同社取締役を務め、2024年7月以降は取締役会長として経営監督を担ってきた人物である。
それまでCEOを務めていたアレックス・クリス氏は退任し、移行期間中はCFO兼COOのジェイミー・ミラー氏が暫定CEOを務める。
今回の人事は、取締役会が過去2年間の業績と競争環境を精査した結果として実施された。一定の改善は見られたものの、変化のスピードと実行力が期待水準に達していないとの判断が背景にある。
ロレス氏は、HPでPC・プリンター中心の事業構造をサービスやサブスクリプション、AI活用領域へ転換してきた実績を持つ。PayPal取締役会は、同氏の変革経験と規律あるオペレーションが、次の成長段階に不可欠だと評価した。
ロレス氏は、「決済業界は、新技術、進化する規制、ますます競争が激しくなる環境、そして日々商取引を再形成しているAIの急速な加速によって、これまで以上に速く変化しています。PayPalはこの変化の中心に位置しており、チームを率いて新しいイノベーションの提供を加速し、デジタル決済とコマースの未来を形作ることを楽しみにしています。」と述べ、AI環境への適応を強調した。
AIと二面市場を軸に再成長なるか
新体制下で焦点となるのは、PayPalが保有する巨大な決済データとAIが組み込まれた現市場での体制強化である。ロレス氏は、短期的な実行力の向上と中長期の変革を両立させる方針を明言しており、AIを活用した不正検知や顧客体験の高度化が加速する可能性が高い。
規制対応とリスク管理を前提に、加盟店・消費者双方への付加価値提供が再定義される局面に入ると考えられる。
一方で、経営トップの交代は不確実性も伴う。HPと決済事業ではビジネスモデルが大きく異なり、改革が短期的に収益へ結びつく保証はない。
特にBNPL(後払い)やVenmoの収益化は競争が激しく、実行が遅れれば市場評価を下げるリスクも残る。
それでも、PayPalがグローバル規模と開発者基盤を併せ持つ点は依然として強みである。ロレス氏の手腕次第では、AI主導の次世代決済プラットフォームへと再成長する可能性があり、今回のCEO人事はその成否を占う重要な分岐点と言える。
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