CTC、米Articul8と提携 自律型生成AIで日本企業の全社AI活用を加速

2026年1月29日、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、米Articul8 AIと生成AIプラットフォームの国内販売代理店契約を締結したと発表した。業界・業務特化型の自律型生成AIを中核に、日本企業における全社規模でのAI活用を本格的に支援する。
CTC、Articul8を中核に企業向け生成AI基盤を本格展開
CTCは、米Articul8社が提供する自律型生成AIリレーションプラットフォームの日本初の販売代理店となった。
本プラットフォームを、AIエージェントを活用した業務変革支援サービス群「Data&AI Offering Suite」の中核に位置付け、生成AIの構想策定から基盤構築、運用高度化までを一貫して支援する体制を整える。
2026年度末までに、生成AIを含む高度AIビジネスで500億円の売上を目指す方針だ。
企業における生成AI活用は進展しているものの、社内に分散したデータの整理不足や、回答根拠の不透明さ、機密情報の取り扱いへの懸念から、実業務への定着が進まないケースが多い。
Articul8は、製造、金融、半導体などの分野で、文章・画像・音声といった用途に応じて最適な生成AIモデルを自動選択し、業界特化データを安全に活用できる点が特徴である。
同社は、LLM(※)の知識や性能を評価する「LLM-IQ」と、複数のAIモデルやAIエージェントを自律制御する推論エンジン「Model Mesh™」を組み合わせ、タスクを自動的に割り当てる。
加えて、グラフデータベースにより判断プロセスや回答根拠を可視化し、精度と信頼性の向上を図る。
クラウドとオンプレミスの双方に対応し、企業ごとに最適化された高セキュリティなAI基盤を実現する。
※LLM(大規模言語モデル):大量のテキストデータを学習し、文章生成や要約、推論などを行う生成AIの中核技術。
全社AI活用の加速と課題 成果創出への分岐点
本提携の大きな意義の一つは、生成AIを部門単位のPoCにとどめず、全社的かつ継続的な活用へと発展させる可能性を示している点にある。
CTCが培ってきた業務・業界知見と、Articul8のドメイン特化型AI基盤を組み合わせることで、企業固有のデータを業務成果に結び付く資産として活用できる余地が広がると考えられる。
結果として、意思決定の迅速化や業務品質の向上につながる可能性もある。
一方で、自律型生成AIの導入が進むほど、ガバナンス設計や運用ルールの整備がこれまで以上に重要になる。
判断の委ね方を誤れば、ブラックボックス化や責任所在の不明確化を招くリスクも否定できない。AIを「使える状態」で維持するための運用力が、企業側に求められる点は引き続き課題と言える。
今後、日本企業が競争力を維持していく上では、汎用型ではなく業界特化型AIを前提とした基盤整備が一つの重要な要素になる可能性がある。
CTCとArticul8の協業は、国内における生成AI活用の成熟度を測る試金石となり、AIを前提とした業務設計への転換を後押しする存在になり得る。
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