ベクターHDとBlue Planet-worksが協業 AI時代の端末防御を「発症させない」設計へ

2026年1月29日、国内IT企業のベクターホールディングスは、Blue Planet-worksと安全性を重視したAIソリューション提供に向けた協業を発表した。第一段階として、ゼロトラスト型エンドポイントセキュリティ「AppGuard」の取り扱いを日本国内で開始する。
「侵入されても発症しない」AppGuardの国内提供開始
今回発表された協業の中核は、ベクターHDがBlue Planet-worksの100%子会社であるITガードと販売店契約を締結し、エンドポイントセキュリティ製品「AppGuard」の取り扱いを開始した点にある。
AppGuardは、業務に必要と定義された命令のみを実行させることで、マルウェアや不正操作が侵入しても被害を発生させない設計を採る。従来主流だった「侵入を検知して排除する」方式とは一線を画すアプローチだ。
背景には、生成AIやクラウド活用の拡大によって、端末が企業活動の最前線となっている現状がある。ランサムウェア被害やサプライチェーン攻撃が相次ぐ中、未知の攻撃を前提にした対策が不可欠になっている。
AppGuardは、ゼロトラストセキュリティ(※)の思想を端末レベルで具現化した製品として位置付けられる。
個人や少人数利用を想定するユーザーには、ダウンロードソフト販売サイト「ベクターPCショップ」を通じて提供する。
一方、全社導入やサポートを必要とする法人向けには、利用環境や規模に応じた個別提案を行う。長年ソフトウェア流通を担ってきたベクターHDの実績を生かし、幅広い導入を目指す構えだ。
※ゼロトラストセキュリティ:社内外の区別なく、すべてのアクセスを検証対象とする考え方。侵入を前提とした防御設計が特徴とされる。
AI活用を止めない防御の価値と課題 次の展開はどこへ向かうか
AppGuardのメリットとして考えられるのは、検知精度や人手運用への依存度を下げることで、防御を安定的に運用できる点にある。
業務に必要な命令のみを実行させる設計は、未知のマルウェアやゼロデイ攻撃への耐性を高めるアプローチとされており、セキュリティ人材不足に直面する企業にとって、運用負荷を抑える選択肢となる可能性がある。
AI活用を前提とした業務環境においても、端末側リスク低減の観点から一定の意義を持つと考えられる。
一方で、業務に必要な命令の定義や初期設計を誤った場合、現場の利便性を損なうリスクは否定できない。既存システムとの相性や運用設計の巧拙が、導入効果に大きく影響する点には留意が必要だ。
両社は今後、端末防御に加え、完全準同型暗号(FHE)を活用したデータ保護やAI処理基盤への応用も視野に入れている。
エッジとデータを分離して守る設計が実運用で確立されれば、AIの利便性と情報資産の安全性を両立するモデルが具体化する可能性がある。
今回の協業は、そうした方向性を示す初期段階の取り組みとして注目される。
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