楽天市場、AI検索が成長の主軸に 三木谷氏が示す流通10兆円への道筋

2026年1月30日、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は、国内の出店者向けイベントで講演し、楽天市場におけるAI活用の成果を明らかにしたと報じられた。検索機能の高度化によって流通総額を450億円押し上げたと説明し、2030年に国内流通総額10兆円を目指す構想の実現性を強調した。
楽天、AI検索で流通総額450億円押し上げ
三木谷氏は講演で、楽天市場の国内流通総額が2025年に3年連続で6兆円を超えたと明らかにした。その成長要因として前面に打ち出したのが、人工知能(AI)を活用した検索体験の進化である。
楽天市場では、利用者が商品名を正確に入力しなくても、曖昧な言葉や意図をAIがくみ取り、適切な商品を提示する仕組みを導入している(※)。この検索高度化により、購買率が向上し、流通総額に約450億円の押し上げ効果が生まれたという。
加えて、出店者向けのAI活用事例も紹介された。商品画像の制作工程を自動化することで、従来と比べて作業時間を約9割削減した店舗があるとし、運営負荷の軽減と売上拡大を両立できる点を強調した。
三木谷氏は、ECに特化して蓄積してきた膨大な取引データこそが楽天AIの競争力の源泉だと説明し、今後も検索と制作の両面でAI活用を深化させる方針を示した。
※曖昧検索:利用者が不完全・抽象的な表現で検索しても、AIが文脈や行動履歴を基に意図を推定し、最適な結果を提示する検索技術。EC分野で購買率向上を目的に導入が進んでいる。
AI成長戦略の強みと課題 10兆円構想は現実的か
楽天のAI戦略のメリットとしては、広告や値下げ施策に過度に依存せず、購買体験そのものの改善を通じて成長を目指している点が挙げられる。
検索精度の向上は、利用者の利便性向上につながる可能性があり、結果として出店者の運営効率改善に寄与する余地もある。
こうした構造的な取り組みは、中長期的に流通総額の拡大を下支えする要因の一つになり得る。
一方で、リスクも無視できない。三木谷氏が指摘した人手不足や外国人労働者の受け入れ制約は、出店者の事業運営に影響を及ぼす可能性がある。
また、AI投資を継続するためには専門人材の確保やコスト負担が避けられず、収益性とのバランスが課題として浮上することも想定される。
さらに、消費減税や為替政策を巡る不透明感など、マクロ経済環境の変動も事業成長に影響を与えかねない。
AIを成長戦略の柱に据える楽天の10兆円構想は一定の進展を見せているものの、その達成には技術力に加え、外部環境の変化に柔軟に対応できる経営判断が求められる局面にあると言える。
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