コールセンターAI導入は3割止まり それでも現場の8割が「人×AI」を求める理由

2026年1月29日、MMD研究所とPKSHA Technologyが共同で実施した調査により、コールセンター現場におけるAI活用の実態と課題が明らかになった。AI支援ツールの導入率は約3割にとどまる一方、有人対応でのAIサポートを望む声は8割近くに達している。
AI導入は31%、しかし現場は「人の仕事」を支えるAIを求めている
MMD研究所とPKSHA Technologyは、コールセンター従事者328人を対象に意識調査を行った。その結果、電話応対をAIで支援するツールをすでに導入している職場は31.4%にとどまり、68.6%は未導入であることが分かった。
AI活用の必要性が語られる一方、現場への普及は限定的な段階にある。
一方で、「人の対応でしか解決できない問い合わせがある」と回答した人は82.9%に達した。
理由としては、顧客の要望や背景を深く聞き取る必要がある点や、感情への配慮、複数の情報を組み合わせた柔軟な判断が求められることが挙げられている。
完全自動化への違和感は、現場で広く共有されている認識と言える。
さらに、有人対応の中で顧客に不満を与えてしまった経験がある人は84.8%に上った。
不満の要因には、知識不足による回答遅延や、社内・他部署との連携不足、要望の曖昧さへの対応難が並ぶ。
こうした背景のもと、有人対応時に「AIにサポートしてもらいたい」と回答した人は78.7%に達する。
求められているのは、応対に必要なナレッジの提示や、通話内容のリアルタイム書き起こし、ハラスメントリスクの検知といった支援機能であり、AIを“代替”ではなく“補助”として活用したい意向が明確に示された。
人を置き換えないAI活用へ 品質向上と現場負荷軽減の分岐点
今回の調査結果からは、AIがオペレーターの判断や感情労働を補完する存在として期待されている側面が読み取れる。
ナレッジ提示や記録作業といった領域をAIが担うことで、対応精度の向上と現場負荷の軽減の両立につながる可能性が示唆されている。
特にAIQA(※)は、属人化しがちな応対品質を可視化し、改善を支援する手段の一つになり得る。
一方で、AI導入にはコストや運用設計、現場定着といった課題も伴う。QAの効果を実感している人が31.1%にとどまっている現状を踏まえると、ツールを導入するだけで品質向上につながらないケースも想定される。運用が不十分な場合には、AIがかえって新たな業務負担となり、期待とは逆の結果を招く可能性も否定できない。
今後は、AIに何を任せ、何を人が担うのかという役割分担の設計がより重要になるだろう。
人の強みを前提にAIを組み込めるかどうかが、コールセンターの生産性や持続性を高めていく上での重要な分岐点の一つになると考えられる。
※AIQA:AIを活用して通話内容を分析し、応対品質の評価や改善を支援する仕組み。オペレーターの負担軽減と品質向上の両立を目的とする。
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