消防庁が警鐘、リチウム電池火災が急増 モバイルバッテリーの扱いに注意

消防庁が国内で発生したリチウムイオン電池火災の調査結果を公表した。件数は年々増加しており、製品別ではモバイルバッテリーが突出して多い。日本国内の日常利用に潜むリスクが、具体的な数値とともに示された形だ。
消防庁調査で判明した出火件数の推移
2026年1月29日に消防庁が発表した調査によると、リチウムイオン電池(※)等から出火した火災が、2022年に601件、2023年に739件、2024年には982件と大幅に増加した。
2025年も1〜6月だけで550件が報告されており、年間換算では高水準が続く傾向にある。
上記の対象は充電式蓄電池そのものや、それを搭載した製品からの出火で、廃棄物回収中の火災は含まれていない。
製品別では、モバイルバッテリーが多く、電動工具、コードレス掃除機、スマートフォンからの出火も多いという。
モバイルバッテリーでは外部衝撃や高温下での使用が主な出火原因とされ、携帯性の高さと裏腹に取り扱いの粗さがリスクを高めているようだ。
また、電動工具では非純正バッテリーの使用、携帯電話では分解や外部衝撃が原因として多く挙げられた。
なお、廃棄されたリチウムイオン電池等を回収中の塵芥車及びごみ処理関連施設から出火した火災件数も増加傾向にある。
こちらは2022年に161件、2023年に171件、2024年に180件、2025年の1〜6月までの間に115件確認されている。
※リチウムイオン電池:充電と放電を繰り返せる蓄電池の一種で、スマートフォンやモバイルバッテリーなどに広く利用される。高エネルギー密度が特長だが、衝撃や高温に弱い性質を持つ。
利便性と安全性の分岐点 リチウムイオン電池の拡大利用が突きつける課題
リチウムイオン電池は、モバイルワークや電動化を支える基盤技術であり、社会的なメリットが大きい。
特にモバイルバッテリーは、業務効率や災害時の電源確保に寄与する存在で、今後も需要は拡大すると見込まれる。
一方で、今回の調査結果は、その利便性が安全対策の遅れと表裏一体であることを示したと言える。
安価な非認証製品の流通や、炎天下での放置といった利用実態が続けば、火災リスクは構造的に残る可能性がある。
今後は、製品安全基準の明確化や表示の強化、適切な使用・廃棄方法の周知が重要になるだろう。
企業にとっても、従業員が使用するバッテリーの選定基準を見直すことは、リスクマネジメントの一環となりうる。
バッテリーの利便性を享受し続けるためには、利用者側の意識転換と制度面の補強が不可欠であり、その成否がリチウム電池社会の持続性を左右すると考えられる。
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