理研と米ANL、富士通、NVIDIAが連携 日米主導で「AI for Science」を推進

理化学研究所が米アルゴンヌ国立研究所、富士通、NVIDIAと、AIおよび高性能計算分野における協力協定を締結した。日米の研究機関と産業界が連携し、次世代計算基盤と科学研究の高度化を共同で推進する。
日米4機関、AIとHPCで包括協力 次世代計算基盤を共同推進
2026年1月27日、理化学研究所は、米国エネルギー省傘下のアルゴンヌ国立研究所、富士通、NVIDIAとの4者間で、AIおよびHPC(高性能計算)分野における包括的な協力協定を締結したと発表した。
本協定は、次世代計算基盤の構築と活用、システムソフトウエアや科学・工学向けアプリケーションの開発・評価、科学分野における高度なAI活用を目的とする。
連携の軸となるのは、日米が国家戦略として推進する「AI for Science(※1)」である。
生成AIや基盤モデルを科学研究に適用し、生命科学、材料科学、気候・環境研究、量子コンピューティング分野などで知識発見を加速させる狙いだ。
理研とANLは2024年にAI for Scienceに関する覚書を締結している。
また理研は、「富岳」の後継となる「富岳NEXT(※2)」の開発を富士通、NVIDIAと国際連携で進めている。
米国では、AIと計算基盤を国家規模で統合する「ジェネシス・ミッション(※3)」が始動しており、本協定はこれら既存の取り組みを発展させる位置付けとなる。
今後は、次世代HPC・AIアーキテクチャの検討、オープンなソフトウエアエコシステム構築、自動実験ワークフローや量子コンピュータとAIスーパーコンピュータの融合などで協力を深める。
※1 AI for Science:AIとシミュレーション、データ解析を組み合わせ、科学研究の発見プロセスを加速する取り組み。
※2 富岳NEXT:スーパーコンピュータ「富岳」の後継を想定した次世代フラッグシップ計算基盤。
※3 ジェネシス・ミッション:米国DOE主導でAI、量子、HPCを統合する国家的研究基盤構想。
研究加速の切り札か 主導権集中と依存リスクも
本連携の最大のメリットは、科学研究の速度と再現性を飛躍的に高められる点だろう。
AIとシミュレーション、実験を密接に結合することで、材料探索や創薬などで従来長期間を要していた検証プロセスが短縮される可能性がある。
一方で、日米の限られた研究機関と特定企業に計算資源や標準が集中すれば、研究基盤の寡占化や技術依存が進む懸念も否定できない。
データ共有や知的財産の扱いを巡る調整も、今後の課題となるだろう。
それでも、国際的な枠組みでオープン性を確保しつつ、量子計算やロボティクスまで視野に入れている点は評価できる。
今回の協定は、AIが科学の補助から中核へ移行する転換点となるかもしれない。
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