衛星データ解析が海へ拡張 スペースシフト、船舶・油膜検知AIを提供開始

2026年1月28日、国内の宇宙データ解析企業スペースシフトは、衛星データ解析ブランド「SateAIs」に「船舶検知AI」と「オイルスリック検知AI」を追加したと発表した。
SateAIsに船舶・油膜検知AI追加、海洋監視を自動化
スペースシフトが新たに提供を開始したのは、衛星データ解析ブランド「SateAIs」における2つの解析AIサービスである。
船舶検知AIは、SAR(合成開口レーダー)衛星データ(※)を用いて海上の船舶をAIが自動検出・可視化する仕組みとなっている。
広範囲の海域を一括で把握できる点が特徴で、海上交通の監視や違法操業対策、港湾・海上インフラ管理などへの活用が想定されている。
AIS(船舶自動識別装置)データとの組み合わせにも対応しており、航行情報と衛星データを突き合わせた高度な分析が可能になる。これにより、従来は断片的になりがちだった海上状況の把握を、より立体的に捉えられるようになる。
もう一つのオイルスリック検知AIは、主にSAR衛星データを活用し、海面に発生する油膜をAIが自動で検知する解析サービスである。
船舶事故や違法排出、海上インフラからの漏洩などによる油膜を広域かつ定期的に把握でき、海洋汚染の早期発見や環境リスク管理を支援する。
両サービスは、解析結果をレポートとして提供するだけでなく、APIによるシステム連携にも対応している。
既存の監視システムや業務アプリケーションと組み合わせることで、スピーディかつ柔軟な運用が可能となる点も特徴だ。
※SAR(合成開口レーダー)衛星データ:電波を用いて地表や海面を観測する衛星データ。天候や昼夜の影響を受けにくく、船舶や油膜の検知に適している。
効率化の切り札か、AI依存のリスクか 海洋監視の次段階
今回のSateAIs 海の拡充は、海洋監視や環境保全業務の効率化を後押しする可能性がある。
人手や船舶による巡視はコストや時間の制約が大きい一方、衛星×AIによる定常的なモニタリングは、そうした弱点を補完し得る手段の一つと位置付けられる。
自治体やエネルギー関連事業者にとって、異常の兆候を比較的早い段階で把握できる点は、意思決定の迅速化に寄与する可能性がある。
一方で、AI検知結果への依存が進みすぎることに対する懸念も残る。
誤検知や見逃しのリスクを踏まえたうえで、人による確認や現地対応をどのように組み合わせるかは、運用上の重要な論点となりそうだ。
また、API連携が進むことでシステム依存度が高まる場合、障害時の対応方針や責任分界点を事前に整理しておく必要性も高まると考えられる。
今後、ダッシュボード提供や解析パッケージの拡充が進めば、衛星データ解析は実務の中で活用される場面が広がっていく可能性がある。
船舶検知や油膜検知を起点に、スペースシフトが海洋分野における社会実装をどの程度まで拡張できるかが、次の焦点となりそうだ。
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