スカパーJSAT、NASA「アルテミス2」地上局に選定 アジア民間で唯一、有人月探査を支援

2026年1月26日、スカパーJSATは、米国航空宇宙局(NASA)が進める有人月探査計画「アルテミス2」において、宇宙船からの信号を受信する地上局に選定されたと発表した。アジアの民間企業で唯一の採択となり、日本発の宇宙インフラが国際探査を支える構図が明確になった。
アルテミス2で地上局運用、アジア民間で唯一の選定
スカパーJSATは、NASAが実施する有人月周回ミッション「アルテミス2」において、宇宙船「Orion」から送信される一方向ドップラー測定(※)信号を受信する地上局として選定された。
今回の測定で地上局を担うアジアの民間企業は同社のみであり、日本の宇宙事業者が国際探査に参画する象徴的な事例と言える。
スカパーJSATの地上局は、2026年2月から4月にかけて、地球周回軌道およびシスルナ空間(地球から月までの空間)での信号測定を担当する。
3基の13.5メートルアンテナを用い、Orionからの電波の周波数変化を高精度で計測し、取得した追跡データをNASAへ提供することで、有人ミッションの安全運航を技術面から支援する。
スカパーJSATは1989年の民間初の通信衛星打ち上げ以降、35年以上にわたり衛星・地上局運用を継続してきた。
今回活用される設備は、民間向け近地球追跡ネットワーク「JSAT Space Line」で実績を積んできたものだが、月探査への本格活用は初となる。
※一方向ドップラー測定:宇宙機から送信された電波を地上で受信し、周波数の変化(ドップラーシフト)から速度や軌道情報を推定する技術。有人探査における位置把握や安全確保に用いられる。
日本の宇宙インフラに追い風、国際探査参画の加速も
今回の選定は、日本企業が有人月探査という高難度ミッションの信頼性確保に直接関与する点で意義が大きいと言える。
シスルナ空間までをカバーする地上インフラの運用実績は、今後増加が見込まれる月・深宇宙探査において競争力となり得る。政府主導に限らず、民間企業が国際探査ネットワークの一角を担う流れを後押しする可能性がある。
一方で、こうした国際案件への継続参画には、高度な運用体制の維持や設備更新への投資が不可欠となるだろう。
特定ミッションへの依存度が高まれば、計画変更や延期の影響を受けるリスクも無視できない。
それでも、今回の実績は日本の宇宙産業が「通信提供者」から「探査インフラの担い手」へと役割を広げる転換点と考えられる。
今後、同社の技術や運用ノウハウが他社の探査計画へ波及するかが注目される。
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