マイクロソフト、AI推論特化チップ「Maia 200」発表 処理コスト30%改善

米マイクロソフトは、AIの推論処理に特化した自社製チップ「Maia 200」を発表した。
クラウド基盤「Azure」での利用を前提に設計され、既存システム比で性能あたりのコストを約30%改善したとしている。
AI推論用チップ「Maia 200」をAzureに導入
2026年1月26日、マイクロソフトは、AIの推論処理(※)に最適化した自社製チップ「Maia 200」を開発したと発表した。
推論処理とは、学習済みのAIモデルを用いて文章生成や質問応答などを行う工程を指す。
マイクロソフトは、学習よりも実行頻度が高いこの処理に特化することで、クラウド全体の効率向上を狙ったという。
Maia 200は、クラウドサービス「Azure」での利用を前提に設計され、製造は台湾の半導体受託生産最大手TSMCが担う。
マイクロソフトによれば、電力効率を高めつつ処理性能を引き出す構成を採用し、性能あたりのコストは同社既存システムと比べて約30%改善したという。
マイクロソフトは、このチップをOpenAIのGPT-5.2モデルを含む複数のAIモデルの推論処理に利用する方針を示している。
すでに米アイオワ州のAzureデータセンターで運用を開始しており、今後はアリゾナ州の拠点にも順次導入する計画だ。
あわせて、Maia 200向けの開発ツールも公開し、企業や開発者が同チップを活用したAIシステムを構築できる環境を整備する。
※推論処理:AIが事前に学習したモデルを使い、文章生成や画像認識、質問応答などを実行する工程。学習後の実運用フェーズを担う。
生成AIの運用コスト低減と囲い込み戦略の加速
Maia 200の投入は、生成AIの普及が進む中で顕在化している運用コストの課題に対する現実的な解となる可能性がある。
推論処理は利用回数が多く、電力や計算資源の消費が積み重なるため、ここを効率化できればクラウド全体の収益性改善につながることが予測される。
Azure上で直接活用できる点は、企業ユーザーにとっても導入障壁を下げる要因となるだろう。
一方で、自社チップへの依存が進むことで、特定クラウドへのロックインが強まる側面も否定できない。
Maia 200の性能を最大限に引き出すにはAzure環境が前提となるため、マルチクラウド戦略を採る企業にとっては慎重な判断が求められるだろう。
それでも、生成AIの競争軸がモデル性能だけでなく、コスト効率や安定運用へと移行する中で、ハードウェアから垂直統合する戦略は合理的だと言える。
今後、他のクラウド事業者や半導体メーカーが対抗策を打ち出し、AIインフラ競争は新たな段階に入る可能性がある。
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