新聞協会、政府AI原則案に実効性懸念 自主規制の限界を指摘

2026年1月26日、日本新聞協会は、政府が策定した生成人工知能(AI)事業者向けの行動原則案に対する意見書を公表した。知的財産保護に向けた方向性は評価しつつも、法的拘束力を伴わない点から「実効性の面で懸念が残る」と指摘した。日本国内における生成AIと報道コンテンツを巡る議論が、制度設計の段階へと進みつつある。
新聞協会、生成AI原則案に意見書 実効性に疑問
政府がまとめた原則案は、生成人工知能を提供する事業者が順守すべき行動指針を整理した「プリンシプル・コード(仮称)(案)(※)」だ。
知的財産権に関する責任体制の明確化や、権利侵害を防止するための対応状況を開示対象とし、事業者のウェブサイト上で閲覧可能な状態にすることを求めている。
日本新聞協会は、この取り組みについて一定の評価を示した一方で、報道コンテンツが許諾なく学習や生成に利用される生成AIサービスが後を絶たない現状を説明した。さらに、事業者から報道機関への対価還元が進んでいない点にも言及している。
意見書では、原則案が自主的な取り組みに委ねられており、強制的な開示義務や罰則が設けられていないことを問題視した。
そのため、事業者が実際に原則を順守するかどうかは不透明であり、権利侵害の抑止につながるかは疑問が残ると指摘している。
※プリンシプル・コード(仮称)(案):政府が検討を進める、生成人工知能事業者が順守すべき行動原則の枠組み。法的拘束力は持たず、自主的な情報開示や責任体制の整備を促すことを目的としている。
自主規制の光と影 報道とAIの共存は描けるか
政府が自主規制を軸とした原則案を示したことについては、過度な規制によってイノベーションが阻害される事態を避けられる可能性がある点が、一つの利点として挙げられる。
急速に進化する生成AI分野では、法令よりも柔軟に運用できるガイドライン型の枠組みが、事業者の創意工夫を促す余地を残すとの見方もある。
一方で、新聞協会が指摘するように、拘束力を欠いた原則では権利保護の実効性を十分に確保できないとの懸念も根強い。
特に報道分野では、取材や編集に投じられたコストが無断利用される構造が是正されなければ、持続可能な報道活動に影響を及ぼす可能性がある。
今後は、原則案が実務の現場でどの程度機能するのかを見極めつつ、必要に応じて制度的な補強を検討する段階に入るとみられる。
欧州連合(EU)のAI規制法のような法的枠組みとの距離感をどう取るのかは、日本のAI政策全体の方向性を左右する論点となりそうだ。
生成AIの発展と報道の価値を両立させるための現実的なルール形成が、引き続き議論の対象となる。
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