若者の悩み2万通をAIに活用 現場起点の若者特化型支援が始動

2026年1月18日、日本のNPO法人若者メンタルサポート協会は、若者向け相談データを活用した若者特化型AI(※)の社会実装を進めていると発表した。毎月約2万通に及ぶLINE相談の知見を基に、国内の若者支援の現場で段階導入を開始する。
若者相談データを基盤に、LINE相談へAIを実導入
10代や大学生を中心とする若者の悩みは、SNSの普及や人間関係の複雑化、将来不安を背景に、量・質ともに深刻化している。
若者メンタルサポート協会が運営するLINE相談窓口には、2015年以降の約10年間で延べ4万人以上が相談を寄せ、現在も毎月約2万通の相談が継続的に集まっている。
同協会は、これらの相談を個人の問題として消費するのではなく、社会課題として共有すべきだと判断した。その具体策として、相談データや現場知見を活用した若者特化型AIの開発を、スタートアップの株式会社Z-BULLと連携して進めている。
Z-BULLは、若メンの相談員でもあるZ世代の若者が中心となって設立された企業で、若メンは理念や安全性、活用方針を監修する立場を担う。2026年1月23日からは、若メンのLINE相談窓口で段階的な実導入が始まり、相談対応の補完や待機時間の軽減を図る。
AIは若者特有の言語表現や感情の揺れを踏まえた応答を行い、人による支援を前提に現場を支える仕組みとして位置付けられている。
※若者特化型AI:若者の相談データや言語表現、感情傾向を学習し、一般的な対話AIよりも若者心理や文脈理解に重点を置いて設計された人工知能。
若者支援×AIの可能性と課題、持続性への試金石
本取り組みは、支援対応の属人化を抑え、限られた人員でも継続的な相談対応を行える体制づくりにつながる可能性がある。
相談ログを分析することで、進学や就職、支援機関の紹介など、若者の次の行動につなげる支援へと発展する余地も考えられる。
一方で、メンタル領域におけるAI活用には慎重な議論が欠かせない。
誤った助言やAIへの過度な依存を避けるためには、最終判断を人が担う運用設計が重要になると考えられ、ガバナンス体制を継続的に検証していく必要がある。
Z-BULLはプレシードで900万円の資金調達を完了しており、非営利団体の現場知見と営利企業の技術力を組み合わせたモデルとして一定の注目を集めそうだ。
当事者世代であるZ世代が課題解決にテクノロジーを用いる試みは、今後の若者支援の在り方を示唆する一例になる可能性がある。
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