中国・奇瑞、AIで車両スマート化を加速 運転支援と車内体験を高度化

2026年1月17日、中国自動車メーカーの奇瑞汽車は、AI技術を活用して自社車両のスマート化を大幅に強化する方針を発表した。安徽省蕪湖市で開いた自社イベントで明らかにしたもので、運転支援から車内体験までを一体で高度化する海外発の動きだ。
奇瑞、AI活用で運転支援と車内機能を高度化
奇瑞汽車は、運転支援システム「獵鷹智駕」とスマートコックピット「霊犀智艙」を中核に、AIによる車両機能の進化を進める。
獵鷹智駕シリーズでは、「獵鷹500」に都市部で全面作動する新バージョンを追加し、新エネルギー車(NEV)に加えて内燃機関車(ICEV)への搭載も拡大する。
上位モデルの「獵鷹900」は乗用車と商用車に展開し、自動運転レベル3(※)およびレベル4(※)への対応を図る。
レベル3は主に乗用車、レベル4は商用車を軸に導入する方針とみられ、用途別に現実的な自動運転戦略を描く。
獵鷹智駕の搭載車種は2026年に35車種超となる見通しだ。
加えて霊犀智艙にはAIを本格導入し、AIエージェント「小奇同学」を進化させる。
人間の記憶構造を模倣し、利用履歴に連続性を持たせることで、個々のユーザーに最適化した応答を可能にする。
奇瑞は2026年第1四半期に全ブランドの主力車種へ霊犀智艙を全面搭載する計画で、シャシーや動力系にもAIを適用する。
レンジエクステンダー式EVでは、モーターのみで200キロ超の航続距離を実現するとしている。
※自動運転レベル3/4:レベル3は一定条件下でシステムが運転を担い、レベル4は特定条件・地域で完全自動運転を行う技術区分。国際的な基準として用いられている。
AI車両化の加速がもたらす競争力とリスク
奇瑞の戦略は、AIを単なる付加機能ではなく車両価値の重要な要素として位置づけている点に特徴がある。
運転支援、車内UI、動力制御を横断的に最適化することで、実用性と体験価値の双方を高める狙いがうかがえる。
特にICEVにも先進AIを広く適用する姿勢は、市場の裾野の広さを生かした競争力強化につながる可能性がある。
一方で、AI活用が高度化するにつれて、ソフト更新の品質管理やサイバーセキュリティ、データ活用の透明性といった論点がより重要になると考えられる。
自動運転レベル3以上の領域では、法規制や責任分界を巡る課題が顕在化する可能性も否定できない。
中国メーカーがAI実装のスピードと量で先行する中、奇瑞の取り組みは「AIカー」を事実上の標準へ近づける動きを後押しする展開も想定される。
その成否は、技術開発の進展に加え、運用体制や信頼性をどこまで確立できるかに左右されるだろう。
関連記事:
トヨタシステムズと富士通、量子AIで車載コンピュータ設計を自動化

VWグループ、自動運転の頭脳にトムトム採用 AI地図が車の判断力を引き上げる











