富士通、ブロックチェーンでグリーン鉄の価値流通を検証 鉄鋼業界の脱炭素を後押し

2026年1月14日、富士通は鉄鋼業界におけるグリーン鉄の価値流通をテーマとした調査事業を12月より開始したと発表した。日本国内のサプライチェーンを対象に、ブロックチェーン技術を活用した検証を進める。
富士通、グリーン鉄の環境価値流通を調査
本事業は、経済産業省が推進する「令和7年度産業関係調査等事業」において、同社が「サプライチェーン間での鋼材と紐付いたグリーン鉄情報の伝達に係る調査事業」に採択されたことを受け、実施に至ったものだ。
対象となるのは、鉄鋼メーカーが発行する削減証書など、グリーン鉄に付随する環境価値の流通プロセスで、2026年2月まで実施される。
鉄鋼業界ではGXマスバランス方式やGXアロケーション方式に基づくグリーン鉄の提供が進む一方、その価値が商社や需要家など下流工程まで正確に伝達されにくい課題があった。
特に、価値の複製や毀損、二重販売といったリスクが顕著であったという。
富士通はこれまで、ブロックチェーン技術を用いた価値証明や、業界横断でのデータ流通基盤構築に関する実績を有している。
今回の調査では、こうした知見を生かし、環境価値の真正性と取引の秘匿性を両立させた仕組みの検討に踏み込む。
実証実験では、同社のGX支援オファリング「Sustainability Value Accelerator」を活用し、第三者認証を取得した削減証書を流通させる。異なる商流や中間財業者を経由しても価値が維持されるかを検証し、業務上の課題整理も行う。
価値の可視化がもたらす期待と残る課題
今回の取り組みの意義は、グリーン鉄の環境価値をデータとして可視化し、取引可能な形で扱う土台を探ることができる点にありそうだ。価値が明確になれば、需要家は調達段階で脱炭素への貢献度を判断しやすくなり、企業の環境戦略の具体化にもつながると考えられる。
一方で、データ流通基盤の導入は現場業務の負担増につながる恐れもある。既存の商慣習や契約形態との整合性を取らなければ、システムが形骸化するリスクは否定できない。
特に中小事業者にとっては、対応コストが障壁となり得る。
また、環境価値の信頼性を高めるには、技術だけでなく業界横断のルール作りが欠かせないだろう。認証基準やデータの取り扱い方針が統一されなければ、価値の解釈にばらつきが生じる懸念も残る。
それでも、鉄鋼業界は製造業全体に与える影響が大きく、ここで確立された仕組みは他分野へ波及する可能性がある。こうしたブロックチェーンを軸とした価値流通の検証は、日本の脱炭素サプライチェーン構築に向けた重要な取り組みとなるだろう。
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