ソニー・ホンダモビリティ、トークン活用で車とサービスをつなぐオンチェーン戦略を提示

2026年1月5日、ソニー・ホンダモビリティは米ラスベガスでのCES® 2026に先立つプレスカンファレンスで、トークンを活用したオンチェーン型モビリティ構想を公開した。車両を起点に価値循環を生む新たなプラットフォーム像を明確にした点が注目される。
トークン循環を軸にしたオンチェーン型モビリティ基盤
同社は、車両とデジタルサービスを結び付けるオンチェーン型モビリティサービス基盤の構想を明らかにした。
アイデア創出から開発、利用、評価までの各工程をトークンでつなぎ、「X-to-Earn」型エコシステムの構築を目指すという。従来の車両販売中心のモデルとは異なる思想が打ち出された。
この構想は、プレスカンファレンスで世界初公開された「AFEELA Prototype 2026」を起点に展開される。
同モデルは「AFEELA 1」のコンセプトを踏襲しつつ、車内空間の自由度を高めた試作車であり、これをベースとしたモデルを2028年以降に米国で発売する予定である。
技術面では、AFEELAの次世代E&Eアーキテクチャーにクアルコム・テクノロジーズの「Snapdragon Digital Chassis」を将来的に採用する方針が示された。ビエクルAI(※)を中核に据え、運転支援や車内体験の高度化を図る狙いがある。
さらに、このプラットフォームは自社完結型ではなく、他の自動車メーカーやサービス事業者にも開放する構えだ。
あわせて「AFEELA共創プログラム」を通じ、IVI向けAndroidアプリ開発環境やクラウドAPIを提供し、外部クリエイターとの連携を進めるとしている。
なお、「AFEELA 1」は2026年内に米カリフォルニア州で納車開始予定で、その後2027年にはアリゾナ州への展開も計画されている。
※ビエクルAI:車両に搭載される人工知能技術の総称。センサーやソフトウェアを通じて運転支援、車内体験、データ活用などを高度化する役割を担う。
モビリティ産業を変える可能性と残る課題
オンチェーン型の仕組みが定着すれば、利用者や開発者が価値創出に直接関与できる点は大きな利点となる。トークンによる報酬設計は、継続的なサービス改善や新機能創出を促し、車両が進化し続ける存在へと変わる可能性がある。
一方で、トークン経済の設計次第では投機性が強まる懸念も否定できない。
報酬と実利用のバランスを誤れば、本来のモビリティ価値よりも経済的インセンティブが先行する恐れがある点は慎重な運営が求められるだろう。
また、他社に開放する共創基盤として機能させるには、技術仕様やデータ連携の標準化が不可欠になるとみられる。自動車業界は長年クローズドな開発文化が根付いており、参加企業間の利害調整が進展を左右する可能性がある。
それでも、車両を単なる移動手段ではなく、ソフトウェアと経済圏の結節点として再定義する試みは象徴的といえる。エンターテインメントやAI、クリプト技術を横断する戦略が実装段階へ進めば、モビリティ産業全体の競争軸が変わる可能性も十分にあるだろう。
関連記事:
トヨタ、モビリティ新基盤MON構想を公開 Avalanche採用で価値循環を実現へ












