雪雲にドライアイス散布で人工降雪 富山湾上空で豪雨抑制の予備実験を実施

2026年1月5日、千葉大学は富山大学などとの共同研究として、雪雲にドライアイスを散布する人工降雪の予備実験を富山湾近海で実施すると発表した。
集中豪雨被害の抑制を目指す国内研究の一環である。
富山湾上空で人工降雪実験、豪雨制御技術を検証
今回発表された実証実験は、内閣府のムーンショット型研究開発制度の目標8「2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現」に基づく研究の一環として行われる。
ムーンショット型研究開発制度とは、日本発のイノベーションの創出を目指し、挑戦的な研究開発を推進する大型研究プログラムである。現在までに10のムーンショット目標が定められている。
今回の実証では、千葉大学、富山大学、富山県立大学の研究者で構成される共同研究チームが、2026年1月6日から15日の間に4日程度、富山湾近海上空で人工降雪に関する予備的な検証を行う計画だ。
実験では小型プロペラ機を用い、高度約3500メートルから雪雲に向けてドライアイス粒を散布する。粒は直径約3ミリ、長さ6〜10ミリで、1フライトあたり20〜100キログラムを使用する予定となっている。
散布されたドライアイスは高度約1500メートルまでに完全に昇華するため、地上や海面への直接的な影響はないと説明されている。
研究の背景には、線状降水帯などによる集中豪雨が全国各地で甚大な被害をもたらしている現状がある。
研究チームは、人工降雨・降雪(※)技術を活用し、豪雨を引き起こす雲の発達を抑制できるかを検証する。
実験は小規模かつ安全性を重視して実施され、悪天候時には中止する判断基準も設けられている。
※人工降雨・降雪(シーディング):雲の中に氷晶核などを散布し、降雨や降雪の発生や量を人為的に調整しようとする気象操作技術。
気象制御研究の前進か、社会受容とリスク管理が課題
本実験が示す最大の意義は、豪雨災害を事前に緩和するという新たな防災アプローチの可能性にある。
従来の治水対策は被害発生後の対応やインフラ整備が中心だったが、気象そのものに介入する技術が確立されれば、被害規模を根本から抑えられる可能性がある。
一方で、気象制御技術には慎重な検証が不可欠だ。たとえ局所的な実験であっても、周辺地域への影響や長期的な気候変動との関係については不確実性が残る。
研究チームは事前の数値シミュレーションにより影響が極めて限定的であると説明しているが、社会的な理解を得るためには、データ公開や説明の継続が求められるだろう。
今後は、観測データの蓄積と技術的有効性の検証が進むことで、豪雨対策の選択肢が広がる可能性がある。
今回の予備実験は、技術面だけでなく、社会実装に向けた議論の出発点になると言えそうだ。
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