AIが10年後の地価を可視化 広島県で「伸びる街」はどこか

2025年、ダイヤモンド不動産研究所は、AIを用いて推計した「広島県の10年後の地価上昇率ランキング」を公開した。約1,000万件の国内不動産取引データを基に、実勢価格ベースで将来の地価を予測した点が特徴で、地方都市の不動産価値を再評価する材料として注目されている。
AIが示す広島県の10年後地価上昇ランキング
本ランキングは、国土交通省の不動産取引情報・成約価格情報など約1,000万件のデータをAIに学習させて算出された。監修には、東京都市大学建築都市デザイン学部秋山研究室発の大学ベンチャーが関与し、都市工学の知見と最新のAI技術を組み合わせている。
公示地価や路線価といった公的評価額ではなく、実際の売買水準に近い実勢価格(※)を推計している点が特徴だ。
その結果、広島県で10年後の地価上昇率が最も高いと予測されたのは広島市中区となった。AIは同区の地価が10年後に18.22%上昇し、坪あたり約132万円に達すると見込んでいる。官庁街に加え、紙屋町・八丁堀といった中四国最大級の繁華街を擁し、再開発や都市機能の集積が続く点が評価された。不動産鑑定士も「土地の希少性が高く、今後も同様の傾向で推移する」と分析している。
2位は広島市南区で、上昇率は17.45%、坪単価は約105万円と予測された。駅前通り周辺の高度利用や周辺整備の進展が背景にある。
3位には広島市西区が入り、横川駅周辺の交通利便性と商業需要の底堅さが将来評価を押し上げた。
※実勢価格:実際の不動産取引で成立した売買価格を指す。税算定を目的とする公示地価などと異なり、市場の需給や投資家心理をより反映しやすい指標。
AI地価予測の価値と限界 地方不動産の行方
AIによる地価予測のメリットの一つは、膨大な取引データを基に中長期の傾向を可視化できる点にある。特に地方都市では、再開発やインフラ整備が地価に与える影響を定量的に示すことが難しかったが、実勢価格ベースの予測は、企業の拠点戦略や不動産投資の検討において実務的な示唆となり得る。広島市中心部のように再開発が連鎖するエリアでは、人流や資本の集中が進む可能性も考えられる。
一方で、AIによる予測は将来を確定的に示すものではない。人口減少の進行や金利動向、災害リスク、政策変更といった外部要因は、前提条件を大きく変える可能性がある。とりわけ地方では、上位エリアと周辺地域との価格差が拡大し、地価の二極化が進むリスクも想定されるため、予測結果をそのまま鵜呑みにすることは避ける必要がある。
それでも、データとAIに基づく地価予測は、不動産市場を感覚論から切り離そうとする試みとして一定の意義を持つ。広島県の事例は、地方不動産についても「勘」ではなく「分析」に基づいて語ろうとする動きが広がりつつあることを示しており、今後は他地域への応用や検証がどこまで進むかが注目される。
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