ミシュラン、AIでタイヤ保全はどう変わるか CES 2026で予測メンテナンスを実演

2025年12月に発表された情報として、仏ミシュランは米ソフトウェア企業ソナタスと協業し、2026年1月6日に開幕する「CES 2026」でAIを活用したタイヤの予測メンテナンス技術を実演すると明らかにした。
ミシュランとソナタス、AIでタイヤ健全性を予測
ミシュランとソナタスは、タイヤの予測的健全性とメンテナンスを可能にする技術をCES 2026で展示する。ミシュランのスマートロードおよびスマートウェア技術を、ソナタスの車載基盤「AIディレクター」を介して展開し、車両内でタイヤ性能に関するリアルタイムの洞察を提供する点が中核となる。
従来のタイヤ監視は、空気圧センサーや走行距離を基準とする方式が主流で、急制動や車両荷重、コーナリング時の力といった実使用に伴う負荷を十分に捉えられなかった。新技術では高頻度の車両信号を解析し、タイヤの実質的な摩耗や劣化状態を継続的に推定する。
この仕組みにより、企業フリートや個人ドライバーは交換時期を最適化でき、安全性向上と運用コスト削減の両立が期待される。ソフトウェアベースの監視は、従来のセンサーハードウェアを仮想化する可能性も持ち、部品表コストの圧縮につながるとされる。
アナリスト企業フロスト&サリバンは、こうした手法が2030年までに約16億8000万ドルのコスト削減に寄与すると試算している。CESでは1970年型フォード「ブロンコ」を用いたデモを通じ、ミシュランの予測的タイヤインテリジェンスが実走行データをどのように洞察へ変換するかが披露される予定だ。
予測型タイヤ保全の利点と、普及への現実的課題
この取り組みの主な意義は、タイヤの物理学とAIを組み合わせることで、保全の考え方を「事後対応」から「予測」へと進化させようとしている点にある。
車両内でモデルを実行するエッジ(※)処理を採用することで、通信遅延の低減や、走行データを外部に依存せず扱える設計が可能になる点は、自動車メーカーにとって一定の魅力を持つと考えられる。
一方で、すべての車両環境において同水準の精度を維持できるかは未知数だ。
車載計算資源の制約に加え、車種や利用環境ごとに異なるデータ特性へ対応するためのアルゴリズム調整には、継続的な運用負荷が伴う可能性がある。ソフトウェア更新を長期的に安定して提供できる体制を構築できるかも、普及に向けた論点となる。
それでも、タイヤをデジタルツイン(※)として捉え、走行状況に応じて寿命や性能を推定する発想は、フリート管理やモビリティサービスの高度化につながる可能性を秘めている。今回のCESでの実演は、タイヤを単なる消耗品ではなく、データを基点に価値を拡張する存在として再定義する動きの一例と位置づけることができそうだ。
※エッジ:クラウドではなく、車両や端末側でデータ処理を行う分散型計算環境。
※デジタルツイン:現実の製品や設備を仮想空間に再現し、挙動や劣化を予測・分析する技術。
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