日立、AIで防衛装備の保守を高度化 自衛隊の人手不足を技術で補完

2026年1月1日、日立製作所がAIを活用し、自衛隊の防衛装備品の保守運用を効率化する方針を明らかにした。日本国内の取り組みで、故障予兆の検知により隊員の負担軽減と事業の継続収益化を目指す。
日立、AIで防衛装備の故障予兆を検知
日立製作所は、車両や艦艇などの防衛装備品にセンサーを搭載し、稼働率や振動といったデータを収集・分析するAI基盤の構築に乗り出す。AIが異常の兆候を捉え、故障前に通知することで、保守作業の効率化を図る狙いだ。2026年度以降の事業化を視野に検証を進める。
現在、防衛装備品の多くは自衛隊員による日常点検が中心で、異常時にメーカーが対応する体制となっている。日立は、民生インフラ分野で培ってきたAIを活用した保守・運用ノウハウを応用し、突発対応型から予防保全(※)型への転換を進める考えである。
この仕組みが実装されれば、現場での確認作業や緊急対応の頻度が下がり、慢性的な人手不足に直面する自衛隊員の負担軽減につながる可能性が高い。デジタル技術を前提とした防衛装備の保守支援は国内では例が少なく、新たなモデルケースとなり得る。
防衛分野での日立の存在感も増している。同社は情報システムやソナー、弾薬補給用の特殊車両などを手がけ、防衛装備庁との契約額は近年大きく伸長。関連事業の体制強化も進めている。
※予防保全:設備が故障してから対応するのではなく、稼働データを基に異常の兆候を事前に把握し、計画的に保守を行う手法。AI活用との親和性が高い。
防衛×AIの利点と課題 持続性の鍵は
AIを活用した保守運用は、省人化と信頼性向上の両立につながる可能性がある点が大きな利点とされる。防衛費が拡大する一方で隊員確保が難航する中、装備品の稼働率を維持しながら人的負担を抑えられれば、自衛隊運用の持続性向上に寄与する余地は大きい。
企業側にとっても、納入後の運用支援を事業化できれば、安定的な収益モデルにつながる可能性がある。
一方で、導入に伴う課題も指摘されている。AIの判断プロセスがブラックボックス化した場合、異常検知の妥当性や責任の所在が曖昧になる懸念が残る。
また、防衛装備品のネットワーク化が進めば、サイバー攻撃への耐性確保はより重要な論点となる。効率化を追求する一方で、リスク管理を前提とした設計が不可欠だ。
今後、防衛分野におけるAI活用は段階的に広がっていくとみられる。
その中で、運用ルールやガバナンスの整備がどこまで進むかは、実装範囲や活用度合いを左右する要素の一つとなる。技術と制度をどう両立させるかが、実用化の成否を分けるポイントになりそうだ。
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