ボッシュ、AI搭載コックピットをCES 2026で初公開 車は自己学習型パートナーへ

2025年に発表された情報として、独ボッシュは2026年1月6日に米ラスベガスで開幕する「CES 2026」において、AI搭載コックピットと新たなAI拡張プラットフォームを初公開すると明らかにした。Microsoft、NVIDIAと連携し、自動車へのAI実装を大きく前進させる海外発の動きだ。
ボッシュ、既存車載システムをAIで進化
ボッシュがCES 2026で発表する最大のトピックは、自動車向け「AI拡張プラットフォーム」とAI搭載コックピットの初公開である。このプラットフォームは、既存のコックピットや車両アーキテクチャを変更することなく、AI機能を後付けで迅速に拡張できる点が特徴だ。
基盤には「NVIDIA DRIVE AGX Orin SoC」を採用し、150〜200TOPSの追加演算能力を提供する。業界標準のCUDA(※)に準拠しており、自動車メーカー各社が独自のAIモデルやエージェントを容易に統合できる構成となっている。電源とEthernet接続のみで導入でき、空冷・液冷の両方に対応する柔軟性も備える。
AI搭載コックピットでは、車がドライバーの行動や嗜好、状況を理解し、先回りして支援する体験を実現する。AI音声アシスタントは文脈を把握し、「寒い」といった一言から空調やシートヒーターを連動制御する。ナビゲーションやエンターテインメントも統合され、車は自己学習型のインテリジェントパートナーへと進化する構想だ。
さらにボッシュはMicrosoftと協力し、Microsoft Foundryと連携した車載AIを構築する。Microsoft 365へのシームレスなアクセスを可能にし、音声操作でTeams会議に参加すると、運転支援機能が自動的に最適化されるなど、安全性を前提としたモバイルオフィス化を打ち出している。
※CUDA:NVIDIAが提供する並列計算向けプラットフォーム。GPUの計算能力を活用し、AIや画像処理などの高速演算を可能にする業界標準技術。
車内AIがもたらす価値と残る課題
この取り組みの大きなメリットの一つは、車内時間の価値を再定義する点にある。移動中の空き時間を、生産的な業務や情報取得の時間へ転換できれば、ビジネスパーソンにとって自動車は重要なワークスペースとなる可能性がある。
市場調査では、AI対応IVI市場は2030年までに約170億ユーロ規模に成長すると予測されており、ボッシュが主導権を握れば産業構造にも影響を与える展開も想定される。
一方で、いくつかの課題も浮かび上がる。高度な音声認識や行動解析は、プライバシーやデータ管理の懸念を伴う。また、AIによる先読み支援が増えるほど、ドライバーの判断力低下や過度な依存を招くリスクも否定できない。安全性と利便性のバランスをどう設計するかが重要な論点となりそうだ。
今後は、各国の規制や自動車メーカーの設計思想との整合性が普及の鍵を握るだろう。AIを競争力の源泉と位置づける動きは今後も続くとみられるが、信頼性や説明可能性をどこまで担保できるかが、車内AIの本格普及に大きく影響すると考えられる。
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