JR東日本とJALが国際貨物で連携 新サービス「JAL de はこビュン」販売開始

2025年12月24日、JR東日本と日本航空(JAL)が、新幹線と航空貨物を組み合わせた新輸送サービス「JAL de はこビュン」を発表した。地域産品の海外輸送を迅速化し、日本国内の地方活性化を支援する取り組みである。
新幹線と航空連携で地域産品を海外へ直送
JR東日本とJALは、新幹線の列車荷物輸送サービス「はこビュン」と、国際線航空便を組み合わせた新輸送サービス「JAL de はこビュン」を2026年1月13日に販売開始する。
両社は2025年10月に仙台からシンガポールへの梨輸送トライアルを実施し、今回の本格展開に至った。
本サービスは、列車で集荷した荷物を航空便で海外へ輸送する方式を採用しており、通関手続きもワンストップで行うことでリードタイム短縮と定時性の確保を可能にしている。
出発駅は新函館北斗や新青森、仙台、敦賀など、JR東日本管内の主要駅が対象で、経由空港は羽田・成田、輸出先は台湾、シンガポール、マレーシア、香港などの国際空港に設定される。
商品化第1弾として、福井県の水産品(越前がに、敦賀真鯛、若狭まはた)を敦賀駅から台北まで輸送し、現地ホテルで食材提案会や福井フェアを通じてPRを行う予定である。
輸送列車は「かがやき508号」、航空便は「JAL99便」を利用し、台北到着後は陸送で通関手続きを行う。
両社はサービスを通じて、新幹線利用によるモーダルシフトの促進やトラックドライバー不足への対応、CO₂排出量削減といった社会課題の解決にも貢献していく考えだ。
今後は輸送ネットワークの拡大や取り扱い品目の多様化など、サービス強化に向けた連携も進める方針である。
高速化が生む商機と制約 地域物流の次の焦点
「JAL de はこビュン」がもたらす最大の利点は、地方と海外市場を時間軸で近づけられる点だろう。鮮度や納期が価値を左右する水産品や青果では、輸送時間の短縮がそのまま価格競争力につながり、地域ブランドの海外定着を後押しすると考えられる。
一方で、鉄道と航空を組み合わせる輸送は、コスト面で万能とは言い切れない。
価格に敏感な大量貨物では従来の海上輸送が選ばれる可能性があり、利用は高付加価値品に集中する展開も想定される。対応エリアや便数の拡張が進むかどうかが普及の鍵となりそうだ。
それでも、物流の高速化と安定性を同時に提供できる点は、地域事業者にとって大きな武器になり得る。これまで輸出に踏み切れなかった中小事業者が海外市場へ参入するきっかけになる可能性もある。
今後、輸送ネットワークの拡大や利用実績が積み重なれば、鉄道と航空の連携は一部の実験的取り組みから標準モデルへと進化するだろう。地域物流の競争力を左右する新たな基盤として、その動向には引き続き注目したい。
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