Komlock labとTDSE、AIが自律決済する経済圏を検証 JPYC活用で「Agentic Commerce」を実証

2025年12月24日、国内スタートアップのKomlock labは、AI上場企業TDSEと連携し、AIエージェントが自律的に決済を行う実証実験を開始すると発表した。
日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用し、国内発の「自律型決済経済」構築を検証する。
AIエージェントが判断・決済する経済モデルを実証
Komlock labとTDSEは、AIエージェントが人間の介在なく取引を行う「Agentic Commerce(※)」の実現に向けた実証実験に着手した。
背景には、AIが業務や購買を担う時代において、判断だけでなく決済まで自律化する必要性が高まっている点がある。
従来の金融インフラは人や法人を前提に設計されており、AIプログラム自体に決済権限を持たせることは難しかった。
加えて、AIが必要とする少額・即時の取引は、既存の手数料構造では非効率になりやすい。
この課題に対して、本実証では、TDSEが運営するテキストマイニングツール「KAIZODE」の分析機能をAIエージェントが使用可能なAPI化し、必要な時にJPYCを用いて自律的に決済しデータを取得する流れを検証する。
これにより、AIによるマイクロペイメントの実用性やユーザビリティを評価する狙いだ。
※Agentic Commerce:AIエージェントが人間に代わり、判断から交渉、契約、決済までを自律的に行う次世代の経済・商取引モデル。
AI経済圏拡張への期待と、ガバナンス面の課題
今回の取り組みは、AI分析データを「AIが自ら購入する商材」として扱う先行事例であると言える。
人間の承認を介さずに必要なデータを取得できれば、AIエージェントの即応性は高まり、業務自動化や高度な意思決定を後押しするだろう。
特に、JPYCを用いた円建て決済は、日本企業が参加しやすい環境を整える意味を持つ。
一方で、AIに決済権限を持たせることにはリスクも伴う。誤判断による不要な支出や、不正利用時の責任所在、ガバナンス設計は依然として検討課題だ。
実証段階でどこまで制御可能性を担保できるかが、社会実装への分岐点になると考えられる。
Komlock labは、TDSEとの連携を通じて技術検証にとどまらない実用モデルの確立を目指すとしている。
日本発の事例として「Agentic Commerce」がどこまで具体化するか、今後の検証結果にも注目したい。
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