エヌビディア、AI新興「グロック」の半導体設計を製品に採用 新たな市場分野の開拓目差す

米半導体大手エヌビディアが、AIチップ開発を手がける米新興企業Groq(グロック)とライセンス契約で合意したとブルームバーグが報じた。
グロックの半導体設計を今後の製品に採用し、データセンター向けAI需要の拡大に対応する。
エヌビディア、グロックのチップ設計を採用へ
ブルームバーグによると、2025年12月24日、米エヌビディアは人工知能向け半導体を開発するスタートアップのグロックとライセンス契約で合意したと報じられた。
契約により、エヌビディアはグロックの技術を使用する権利を得て、同社のチップ設計を将来の製品に組み込む方針である。
ライセンス料や契約条件の詳細は公表されていない。
エヌビディアによると、グロックのチップは入力に対する応答性が高い低遅延設計を特徴としている。
両社の発表では、この設計を活用することで、既存製品への機能追加を進めるとしている。
また、両社によると、グロックの上級幹部の一部はエヌビディアに移籍し、ライセンス供与された技術の高度化や拡張を支援する。
一方、グロックは独立企業として存続し、新たな最高経営責任者(CEO)の下で事業を継続することを、12月24日にグロックの自社サイトで明らかにした。
背景には、AIソフトウエアやサービスの普及に伴い、データセンターで必要とされる計算能力への投資が急増している状況がある。
こうした需要拡大を背景に、エヌビディアは同分野で既に高いシェアを築き、主力製品の販売拡大を通じて半導体業界でも有数の資金力を確保してきた。
一方で、こうしたエヌビディアの支配的な地位に対抗する動きも広がっており、グロックは、アルファベット傘下のグーグルなどと同様に、独自のAIチップ開発を進める企業の一つである。
2016年設立のグロックは、2025年9月に約7億5000万ドルを調達し、データセンター能力の拡大に充てる方針を示していた。
外部設計採用で競争力を補強
エヌビディアがグロックのチップ設計をライセンスで採用する動きは、AIソフトウエアやサービスの普及でデータセンター向け計算投資が急増する局面に合わせた布石と言える。
低遅延設計を取り込めば、入力への応答性を軸に、既存製品へ機能追加を進めつつ新たな市場分野を開拓する余地が広がると考えられる。
主力製品の販売拡大で資金力を確保してきた同社が、外部技術を対価を払ってでも取り込むのは、製品開発の選択肢を増やす狙いがあるのだろう。
一方で、ライセンス料や契約条件は公表されておらず、取り込みのコストと効果は外部から評価しにくい。
上級幹部の一部が移籍して高度化と拡張を支援するとはいえ、設計思想や製品ロードマップの調整が負担になる可能性もある。
グロックが独自AIチップ開発を進める企業である以上、協業と競争が併存する関係は続く可能性がある。
今後は、どの製品に設計が組み込まれ、機能追加がどこまで進むかが焦点となるだろう。
関連記事:
ファナック、エヌビディアと協業 AIロボット開発を仮想工場で効率化へ












