松尾研究所、国内初「AI発注力講座」を2026年2月開講

2025年12月24日、東京都文京区の株式会社松尾研究所は、AI導入プロジェクトに関わるビジネスパーソンを対象とした「AI発注力講座」を2026年2月より開始すると発表した。
国内初の体系的な発注者向けプログラムで、全国からオンライン受講可能である。
AI導入の発注力を体系化 松尾研究所がオンライン講座開設
松尾研究所は、AI導入の現場で課題となる外部パートナーへの発注力不足に対応するため、新たに「AI発注力講座」を設ける。企業の経営層や現場担当者、DX推進者まで幅広い層を対象に、発注者として必要な知識とスキルを体系的に習得できる国内初のプログラムだ。
講座では、AIの基礎理解や最新動向、発注における成功・失敗事例、PoC設計、パートナー選定、プロジェクト推進のポイントまで幅広くカバーする。
最終課題として提案書作成演習を実施し、受講者は自社でのAI活用構想を実務レベルまで落とし込む経験を積むことができる。
また、オンライン配信により全国から受講可能であり、非エンジニアでもビジネス視点でAI導入を推進できることを前提にカリキュラムが構築されている。技術顧問を務める松尾豊氏も登壇し、実際のプロジェクト事例を基にリアルな知見を提供する予定だ。
受講料は社会人が55,000円(税込)、国家公務員や地方公務員は無料(定員100名)で、申し込み締切はそれぞれ2026年1月21日と1月7日までとなる。
松尾研究所は、大学発の研究成果を社会実装することを目的に設立された研究所であり、今回の講座もその理念に基づく取り組みである。
AI発注力講座が企業文化に与える変化と課題
この講座の開講は、単なるスキル習得に留まらず、企業文化や組織の意思決定プロセスに影響を与える可能性がある。発注者の役割が明確化されることで、社内の責任範囲や意思決定の透明性が向上し、プロジェクト運営の効率化につながると考えられる。
しかし、制度や文化に変化を定着させるには、受講者だけでなく組織全体の理解や協力が不可欠である。発注力の高い担当者がいても、現場の連携不足や既存の業務慣習が障壁となり、思ったほど効果を発揮できないリスクも存在する。
また、講座を通じて得られる知識や手法は標準化されるものの、企業ごとの課題やプロジェクト特性に応じた応用力が求められる。学習内容が形式的に実務に取り入れられただけでは、真の成果につながりにくい点が課題として残る。
将来的には、発注力の向上が社内教育や人材育成のモデルとなり、AIプロジェクトを推進できる人材が組織内で増加する可能性がある。これにより、企業はAI活用の加速だけでなく、新規事業開発やイノベーション創出にも好影響をもたらすだろう。
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