教師の授業設計をAIが伴走 みんがく、教育現場発のプロンプト生成アプリ発表

2025年12月24日、EdTech企業のみんがくは、教師向けデザインプロンプト生成支援アプリ「Prompt for teachers」を発表した。
相模原市立中野中学校の梅野哲総括教諭が開発を主導し、国内の学校現場での生成AI活用を後押しする。
みんがく、授業設計を支援する伴走型AIアプリを提供
みんがくは、教師の授業デザインを支援するアプリ「Prompt for teachers」を、同社の教育向け生成AI基盤「スクールAI(※)」上で提供開始した。
本アプリは、相模原市立中野中学校の梅野哲総括教諭が、日々の授業実践を通じて培ってきた設計手法をもとに開発した。
特徴は、教師が授業設計時に行ってきた思考の整理や問いの立て方を、AIが対話形式で代替・支援する点にある。
学年や教科、単元などを入力し、AIからの質問に答えていくだけで、生徒の思考を深める「デザインプロンプト」を短時間で生成できる。
生成されたプロンプトは、スクールAI内のアプリ作成の起点として使えるほか、ChatGPTやGemini、Copilotなど外部の生成AIツールにもそのまま転用可能だ。
自治体や学校ごとに利用するAIが異なる現状でも、教師がプロンプトを共有・再利用しやすい設計となっている。
※スクールAI:全国の教師が開発した教育向けAIアプリを利用・作成できるプラットフォーム。文部科学省のガイドラインに準拠し、Azure環境を基盤としている。
生成AIを「答えの道具」で終わらせない教育DXの可能性
本アプリの狙いは、生成AIを単なる解答生成ツールではなく、学習者の思考を促す「伴走者」として位置付ける点にある。
梅野教諭は、自由にAIを使わせるだけでは学びが浅くなるという課題意識から、教材観や指導観を構造化したプロンプト設計の重要性を訴えてきた。
実際に公開授業で活用した教師からは、国語や理科、英語など教科を問わず、生徒の思考が深まり対話が活性化したとの声が報告されている。
AIが問い返しや形成的フィードバックを担うことで、教師はファシリテーションに専念しやすくなる点も利点と言える。
一方で、プロンプト設計にAIを介在させることで、教師の意図がどこまで正確に反映されるかという課題も残りそうだ。
過度な自動化は授業の画一化を招く可能性があるため、最終的な判断や調整は教師に委ねる必要がある。
月額500円という価格設定も含め、本サービスがどこまで現場に浸透するかは、今後の導入事例と効果検証次第だろう。
ただし、現場発の知見をAIとして共有する取り組みは、教育DXの実装フェーズを一段進める試みとして注目を集めそうだ。
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