東京ガス、Notion AIを全社展開へ 内製開発起点で10部署300名規模に拡大

2025年12月23日、Notion Labs Japan合同会社は、東京ガスが「Notion」および「Notion AI」を含むエンタープライズプランの利用を拡大すると発表した。内製開発チームでの成果を踏まえ、10部署300名超へ展開する。
東京ガス、Notion AIを10部署300名規模へ本格展開
東京ガスは、コラボレーションツール「Notion」と「Notion AI」を含むエンタープライズプランの利用を、従来の一部チームから10部署300名以上へ拡大した。発表は2025年12月23日、Notion Labs Japan合同会社によるものだ。
同社では2021年、リビング戦略部におけるmyTOKYOGAS開発を担う約50名規模の内製開発チームでNotionを導入した。ファイルサーバーやExcelに依存していた情報共有を見直し、オンボーディング資料、業務マニュアル、用語集、PBI(※)管理などをNotionに集約した。
その後、Notion AIを組み合わせることで、ドキュメントやプロジェクト情報を横断的に検索できる環境を整備。情報探索にかかる時間削減や、更新頻度の向上といった効果が実証された。加えて、エンタープライズプランによる高度なセキュリティとガバナンス対応も評価され、2025年11月末から利用範囲の拡大に踏み切った。
現在は、部署横断での情報共有やプロジェクト管理をNotion上で統合し、業務の透明性と意思決定スピードの向上を図っている。
※PBI(プロダクトバックログアイテム):アジャイル開発で用いられる管理単位。開発対象となる機能や改善項目を一覧化し、優先順位を付けて進捗管理を行う手法。
AIナレッジ基盤の価値と課題 全社展開はDXの標準となるか
今回の取り組みのメリットとして注目されるのは、AIを前提としたナレッジ基盤を組織内で共有できる点にある。
Notion AIの活用により、必要な情報へ迅速にアクセスできる環境が整いつつあり、利用者1人あたり年間20時間以上の業務削減が見込まれている。
知見が特定の担当者に集中しにくくなり、結果として組織全体の学習効率が高まる可能性がある。
一方で、全社規模での展開には慎重な設計も求められる。自由度の高いツールであるがゆえに、情報設計や運用ルールが不十分な場合、情報の散在や検索性の低下を招く恐れがある。
AIの出力精度が、投入される情報の質や整理状況に左右される点も、運用上の課題として意識しておく必要があるだろう。
それでも、生産性向上と統制の両立を目指す東京ガスの取り組みは、AI時代における企業DXの一つの方向性を示唆している。
今後、同様のナレッジ×AI基盤を全社レベルで導入する動きが他の大企業へ広がるかどうかは、実運用で得られる成果と定着度が判断材料になると考えられる。
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