米AI検索パープレキシティ、毎日・産経・共同の抗議に応じず 無断利用停止を否定

2025年12月23日、生成AI検索サービスを提供する米Perplexity(パープレキシティ)は、毎日新聞社からの抗議書に対しメールで回答した。
記事の無断利用停止など5項目の要請には応じない姿勢を示し、同様の抗議を行った産経新聞社、共同通信社にもほぼ同内容の返答を行っている。
パープレキシティ、国内報道大手3社の要請を拒否
毎日新聞社は2025年12月1日、生成AI検索サービスで自社記事が無断利用されているとして、米Perplexityに抗議書を送付していた。
抗議書では、許諾なく収集した記事に基づく回答表示は著作権侵害に当たると主張し、無断利用の即時停止、過去に複製したデータの削除、対価や賠償の支払いなど計5項目を要請していた。
これに対しPerplexityは、日本時間の2025年12月23日、メールで回答を送付した。
回答では、同社の検索サービスは一般論として著作権侵害には該当しないとの見解を示し、要請された5項目について、いずれも受け入れない姿勢を明らかにしている。
一方で、引用元として毎日新聞社名を表示した検索結果に、記事内容と異なる虚偽表示があるとの指摘については、特定のメディアに限らず発生し得る状況があることを否定しなかった。また、毎日新聞社と協議する意向を示している。
同様の抗議は、共同通信社と産経新聞社も行っており、Perplexityは両社に対しても、毎日新聞社とほぼ同内容の回答を12月23日に送付した。
毎日新聞社の広報は、回答を精査し、今後の対応を検討するとしている。
生成AI検索と報道の関係性が問われる局面に
今回の対応は、生成AI検索サービスが報道コンテンツをどのように扱うべきかという論点を改めて浮き彫りにした。
検索結果として要約や回答を提示できる点は、利用者にとって利便性が高いというメリットがある。
一方で、記事制作にかかる取材や編集のコストが十分に回収されなくなるという懸念も強まる。
報道機関側から見れば、無断利用が常態化すれば、既存のビジネスモデルが揺らぐ可能性がある。
毎日新聞社が抗議書で指摘したように、報道の持続性そのものが問われる事態になりかねない。
一方、AI事業者にとっては、検索や要約の仕組みが著作権侵害と判断されれば、サービス展開に大きな制約が生じるリスクがある。
Perplexityが著作権侵害を否定する一般論を示した背景には、米国で議論されてきたフェアユース(※)の考え方を前提とした事業継続の判断があると考えられる。
今後は、個別の協議や契約による解決が進むのか、それとも法的判断に委ねられるのかが焦点となるだろう。
生成AIの発展と報道の公共性をどう両立させるかが、国内外で共通の課題になりつつあると言える。
※フェアユース:著作物の利用であっても、利用目的や量、公益性などの条件を総合的に考慮し、権利者の許諾なく使用できると判断される米国の法理。
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