MIRISE、NFTで新春限定デジタル御朱印を授与 文化継承と福祉支援を融合

2025年12月19日、株式会社MIRISEがNFT(非代替性トークン)技術を活用した「デジタル御朱印プロジェクト」を開始すると発表した。第一弾として、京都市の妙心寺塔頭・桂春院で新春限定NFT御朱印を授与する計画である。
京都・桂春院で新春限定NFT御朱印を期間限定授与
株式会社MIRISEは、障害者の就労支援を行いながらデジタル技術を活用した文化継承を目指すプロジェクトの一環として、桂春院でNFT(※)御朱印を授与する取り組みを開始する。授与期間は2026年1月1日から2月28日までで、期間中の一部日程は除外される。
NFT御朱印は参拝者がスマートフォンを用いて取得でき、ブロックチェーン技術により真正性が証明される仕組みとなっている。桂春院のオリジナルデザインが採用されており、寺院の文化価値と先端技術を融合させた新しい形式として提供される。
桂春院は慶長3年(1598年)に創建され、4つの枯山水庭園が国の名勝に指定されている歴史的名刹である。苔や紅葉が美しい庭園は国内外の観光客に知られており、訪日外国人の増加と寺院運営の課題という背景が、本プロジェクト誕生の契機になった。
授与されたNFTの売上の一部は福祉・社会貢献活動に還元される予定だ。MIRISEは、今後他寺院・神社への展開やNFT保有者限定の特別拝観なども視野に入れ、障害のあるクリエイターによるデザイン制作も積極的に進める計画である。
※NFT(非代替性トークン):ブロックチェーン上で唯一無二の価値を持つデジタル資産の形式で、デジタルデータの真正性や所有権を証明する技術。
NFT御朱印導入で広がる文化体験と福祉就労の可能性
NFT御朱印は、従来の参拝体験に新たな価値を生み出す手段となり得る。デジタル形式で記録を残すことで、参拝履歴が個人のコレクションとして保存可能になり、文化体験を可視化できる利点があると考えられる。
福祉面では、障害者クリエイターが制作に参加することにより、創作活動が社会的・経済的に評価される機会となる。収益の一部が福祉活動に還元される構造は、社会貢献と事業持続性を両立させる効果が期待できる。
一方で、NFTやブロックチェーンに対する理解不足は、参拝者の心理的障壁になるおそれがある。特に高齢層においては操作方法や概念の説明が不可欠であり、サポート体制の充実が普及の鍵となるだろう。
今後、デジタル御朱印が注目を集めれば、寺院運営や福祉就労モデル全体への波及効果も生まれると考えられる。文化体験の多様化と雇用創出を同時に実現する取り組みとして、国内外のデジタル文化施策に示唆を与える可能性がある。
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