シグマクシスが日産を支援 AIアシスタント導入で全社データ活用は次段階へ

2025年12月22日、シグマクシスは、日産自動車の全社横断的なデータ活用基盤において、ツール活用型AIアシスタントの導入を支援したと発表した。
日産、ツール活用型AIアシスタントを実運用開始
今回の発表の核心は、日産自動車が全社的なデータ利活用を高度化するため、エンタープライズデータサービスとツール活用型AIアシスタント(※)を組み合わせた基盤を実運用に移行した点にある。シグマクシスは、アーキテクチャ策定から開発推進までを一貫して支援した。
両社の協業は2019年にさかのぼる。シグマクシスは日産のデータ・分析基盤構築を支援し、データカタログ整備やガバナンスルールの確立など、基盤強化を段階的に進めてきた。2021年に立ち上げられた社内向けサービス「Data as a Service(DaaS)」では、事業部門の利用を前提としたサービス組織の構築やユースケースの整理・カタログ化にも関与している。
今回導入されたAIアシスタントは、2025年11月から本格稼働した。利用者がテキストで課題を入力すると、AIがDaaS上の膨大なデータから類似ユースケースや関連データを検索し、最適な候補を提示する仕組みだ。複数のAIを連携させる設計により、従来よりも自律性の高いデータ活用を可能にしている。
(※)ツール活用型AIアシスタント:人間の指示に対し、AIが複数のツールやデータ基盤を使い分けて情報を探索・提示する仕組み。単純な質問応答型AIより高い自律性を持つ。
自律型AIへの布石 効率化とリスク管理の分岐点
この取り組みのメリットとして考えられるのは、データ探索や活用を専門部門に過度に依存せず、現場主導で進めやすくなる点だ。
AIアシスタントが最適なデータ候補を提示することで、意思決定までの時間短縮や生産性向上が期待される。全社横断でのデータ連携が進展すれば、部門最適から全体最適への転換につながる可能性もある。
一方で、AIに依存する度合いが高まるほど、データ品質やガバナンス不全がもたらすリスクは無視できない。
誤ったデータや前提条件が提示された場合、判断の精度が低下する懸念も生じる。そのため、データ基盤を継続的に改善していく体制が重要になる。
今後、AIアシスタントがより自律的なAIエージェントへ進化すれば、業務プロセスの再設計や意思決定構造に影響を及ぼす可能性がある。
日産の事例は、製造業におけるAI活用が検証段階から実装段階へ移行しつつある流れを示す一例と位置づけられるだろう。
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