AI Shift、高齢者講習予約をAI電話で自動化 教習所の電話業務を再設計

2025年12月21日、サイバーエージェント傘下のAI Shiftは、日本国内の自動車教習所向けにAI電話高齢者講習予約システム「リピッテ教習所」をリリースした。高齢者講習に集中する電話対応をAIで代替し、教習所運営の効率化を図る。
AI電話×Web×LINEで高齢者講習予約を一元化
AI Shiftは、コネクター・ジャパンと共同開発した「リピッテ教習所」の提供を開始した。本サービスは、高齢者講習の予約業務に特化したAI電話予約システムであり、電話に加えてWebやLINEからの予約にも対応する点が特徴だ。高齢者本人だけでなく、家族による代理予約も想定した設計となっている。
自動車教習所では、免許更新時期に高齢者講習の予約電話が集中し、回線の混雑や職員の業務逼迫が常態化してきた。リピッテ教習所では、AIが24時間自動で電話予約を受け付けることで、営業時間外の対応も可能になる。これにより、利用者の「電話がつながらない」という不満を軽減する狙いがある。
本サービスは、ショウ・コーポレーションが運営する教習所での実運用を通じて利用しやすい予約環境の整備がされた。現場検証の結果、導入後は電話対応時間が約70%削減されたという。AI電話サービス「AI Worker VoiceAgent」を基盤とし、教習所業務に最適化した形でパッケージ化された点も、全国展開を見据えた設計と言える。
省人化の先にある価値と、AI活用の課題
リピッテ教習所のメリットの一つは、予約対応という定型業務をAIに委ねることで、職員が本来注力すべき教習や対面対応に時間を割きやすくなる点にある。
人手不足が深刻な教習所業界において、業務の持続性を高める手段として有効だと考えられる。また、高齢者にとって使い慣れた電話を維持した点も、デジタル移行の心理的ハードルを下げる可能性がある。
一方で、AI電話(※)に対する心理的抵抗や、音声認識の限界による誤対応といったリスクも残る。例外的な要望への対応や、有人対応への切り替え設計が不十分であれば、逆に不満を招く可能性がある。
今後、同社は予約システムとの連携を広げ、教習所以外の業界にも展開する方針だ。
高齢化社会における窓口業務の在り方を再定義する可能性を示す事例として、AI活用の成否が注目される。
※AI電話:音声認識と自然言語処理を用い、人に代わって電話応対や予約受付を行うAI技術。高齢者にも対応しやすい点が特徴。
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