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    noteがGENIACに採択 RAG基盤で出版社とクリエイターに対価還元へ

    2025年12月19日、note株式会社は、経済産業省とNEDOが推進する生成AI国家プロジェクト「GENIAC」に採択されたと発表した。日本国内において、生成AIとコンテンツ産業をつなぐ新たなデータ流通と対価還元を目指す取り組みである。

    目次

    note、GENIACでRAG活用のデータエコシステム構築へ

    今回採択されたのは、生成AI開発を加速する国家プロジェクト「GENIAC」における調査事業であり、事業期間は原則1年、予算規模は15億円以内とされている。
    調査期間の延長が認められた場合には、事業期間は最長で2027年12月まで、予算上限は20億円以内まで引き上げられる可能性がある。

    noteは本事業を通じて、RAG(検索拡張生成)技術を活用した大規模データベースの構築に取り組む。出版社や学術団体、ウェブメディアなどが保有する高品質なコンテンツを集約し、生成AIが回答生成時に参照できる仕組みを整備する点が特徴となる。

    このRAG基盤では、AIがどのコンテンツを参照したかという利用履歴の取得が想定されている。これにより、コンテンツの権利者側は利用実態に基づいた対価設計を行えるようになり、AI事業者側も情報の正確性を高めたサービス提供が可能になる。

    初期段階では、ニュースや辞書、実用書、経済・ビジネス分野などのファクト情報に対象を限定し、適切な権利処理を前提に進める方針である。
    KADOKAWAやダイヤモンド社、学術著作権協会など複数の団体が参画しており、今後も連携先の拡大が予定されている。

    公正な対価還元は実現するか AI時代の出版ビジネスの分岐点

    本取り組みの最大の意義は、生成AIとコンテンツ産業の関係を「無償参照」から「価値循環」へ転換しようとする点にある。
    これまで曖昧になりがちだったAIによる情報利用の実態が可視化されることで、出版社やクリエイターにとって収益機会が広がる可能性がある。

    AI事業者にとっては、信頼性の高い日本語データへ継続的にアクセスできる点が大きなメリットとなる。検索エンジン依存から脱却し、差別化された回答品質を提供できるようになれば、国内生成AIサービスの競争力向上につながると考えられる。

    一方で、データ標準化や利用ルールの設計には難しさも伴う。
    参照頻度と価値をどのように結びつけるか、ジャンルごとの特性差をどう扱うかといった課題は、制度設計次第で不公平感を生む恐れも否定できない。

    それでも、この仕組みが定着すれば、日本語コンテンツが国際的なAI知識基盤に組み込まれる道も開ける。GENIAC採択を起点に、生成AI時代における出版・メディア産業の持続可能性が問われる局面に入ったと言えるだろう。

    note株式会社 プレスリリース

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