AOKI公式ECにAIエージェント導入 行動を記憶してレコメンドする機能追加

2025年12月22日、株式会社AOKIは公式オンラインショップにAtlas株式会社のAIシステム「EC Agent」を導入したと発表した。
ユーザーの行動を記憶・分析し、個別最適な商品提案を行う仕組みだ。
AOKI、行動記憶型AIでEC接客を高度化
AOKIは2025年12月1日より、公式オンラインショップにAtlasが開発したAIエージェント「EC Agent」を導入した。
閲覧履歴やクリック動作といったユーザーの行動データを継続的に分析し、来訪時の関心に即した商品をポップアップなどで提示する仕組みである。
「EC Agent」を開発するAtlasは、AIエージェントの基盤技術を専門とするスタートアップだ。
ユーザーの行動や文脈情報をAIの長期記憶として保持・更新する基盤技術である「Memory Layer」を用い、ユーザーの高精度な予測を可能にしている。
従来のレコメンドが属性や購買履歴に依存していたのに対し、EC Agentは行動の文脈を重視する点が特徴だ。
スーツ購入かカジュアル用途か、などといった意図を推測し、探索負荷を下げる役割を担う。
背景には、商品点数の増加による一着の選びにくさや、オンライン上でのスムーズな購買体験への需要増加がある。
AOKIはサービスの導入について、「実店舗のスタッフのようにお客様の好みや着用シーンを想定しながら温かみのある接客提案が可能となること」を目標にするという。
ECの差別化軸にAI接客 利便性向上と課題
今回の導入は、アパレルECにおける差別化軸が「価格」や「配送」から「体験」へ移行していることを示す動きだ。
行動記憶型AIにより、ユーザーは短時間で目的の商品に到達でき、購買満足度の向上が期待される。
事業者側にとってもメリットは大きい。回遊データを接客改善に還元でき、コンバージョン率の向上や在庫最適化につながる可能性がある。
実店舗のノウハウをデジタルに移植する試みとしても注目される。
ただし、行動データ活用には慎重さも求められる。ECサイトのクリックなどの動作までデータ収集となることには、プライバシー上のネガティブ感情を巻き起こす可能性がある。
過度な追従型レコメンドは監視感を与えかねず、透明性の確保や同意設計が重要となるだろう。
今後、同様のAIエージェントが他社ECにも広がれば、国内小売における競争は「どれだけ顧客を理解できるか」という局面に移行する可能性がある。
AOKIの取り組みは、その先行事例と位置づけられそうだ。
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