高市首相、AI基本計画を初決定 行政10万人活用とAIサミット日本開催を表明

2025年12月19日、日本政府はAI活用の国家指針となる初の「AI基本計画案」を決定した。高市首相は同日、AIサミットの日本開催を目指すと表明した。
日本初のAI基本計画を決定、1兆円投資と霞が関AI活用へ
政府が決定したAI基本計画案(※)は、AIを産業競争力や安全保障に直結する戦略技術と位置付け、国家として推進する初の包括的な指針である。高市首相は「AIは我が国の国力を左右する」と述べ、今後AI関連政策に1兆円以上を投資する考えを明らかにした。
計画では、行政分野でのAI導入が明確に打ち出されている。デジタル庁が開発した行政向けAIツールを、10万人を超える政府職員が利用できる体制を整備する方針だ。
さらに高市首相は、信頼できるAIを国際社会と共に構築する必要性を強調した。その具体策として、各国の政府や企業、研究者が参加する「AIサミット(※)」を、可能な限り早期に日本で開催するよう関係省庁に指示している。日本が国際的なAI議論の場で存在感を高める狙いがある。
※AI基本計画:AIの研究開発、利活用、制度整備の方向性を政府として体系的に示す国家計画。
※AIサミット:AIの国際的なルール形成や協調のあり方を議論する多国間会合。
国家主導AIの評価軸 成長期待と依存リスクをどう見るか
今回の基本計画は、日本のAI産業にとって一定の追い風となる可能性がある。
1兆円規模の投資や明確な国家方針は、企業やスタートアップの研究開発を後押しする要因となり得るほか、海外からの人材や資本を呼び込む契機になるとも考えられる。
行政が率先してAIを活用する姿勢も、民間導入を後押しする象徴的なメッセージになりうる。
一方で、国家主導が強まることによる課題も指摘される。
行政向けAIツールの活用が広がる過程で、特定技術やベンダーへの依存が進む可能性は否定できない。また、効率化を優先する運用が進めば、説明責任や判断プロセスの透明性をどう担保するかが新たな論点になる。
AIサミットの日本開催が実現すれば、国際社会における発信力を高める機会となるだろう。ただし、基本計画の評価は投資額や制度設計そのものだけで決まるものではない。
行政や産業の現場でどのような変化が生まれ、新たな価値創出につながるのかが、今後の成否を左右すると言える。
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