アステリア、企業会計と直結するJPYC運用基盤を提供 送金・管理の自動化で企業決済に新たな選択肢

2025年12月18日、アステリアは日本円建ステーブルコインJPYCを企業システムから扱いやすくする入出金管理サービス「JPYCゲートウェイ」を発表した。
会計や業務システムと連携し、送金や管理の自動化を可能にする国内向けサービスとして注目できる。
企業向けJPYC管理を簡素化する「JPYCゲートウェイ」
アステリアが開発した「JPYCゲートウェイ」は、企業におけるJPYC活用のハードルを下げる入出金管理サービスである。
JPYCとは、国内初の法定通貨と連動する円建てステーブルコインだ。
「JPYCゲートウェイ」は2026年1月13日からβ版提供を開始し、企業の会計システムや業務アプリケーションとJPYCを接続する役割を担う。
従来は個別対応が必要だったウォレット操作を、企業システムの延長として扱える点が特徴だ。
このサービスには、データ連携基盤「ASTERIA Warp」のデータ連携機能が活かされており、100以上の既存システムやクラウドサービスと接続可能となっている。
Web UIやASTERIA Warp接続を通じて送金指示や残高照会、取引履歴の取得ができるため、JPYCを日常業務フローに組み込みやすくなる。
背景には、JPYCを企業で活用する際の実務的な課題がある。
秘密鍵管理や暗号資産ガス代(※)の扱い、会計監査への対応などは、多くの企業にとって導入障壁となってきた。
JPYCゲートウェイは、これらを一元的に管理し、企業ごとの事情に応じた運用選択肢を提供することにより、企業のJPYC利用をサポートする。
※暗号資産ガス代:ブロックチェーンで取引を処理する際に発生するネットワーク利用料。
企業会計と接続する意義と、普及に向けた課題
JPYCゲートウェイの登場は、ステーブルコインを実証実験的な決済手段から、業務インフラへ近づける動きと捉えられる。
企業会計や入出金管理と直接結び付くことで、JPYCは経費精算やポイント還元、Web3関連事業の決済基盤として活用される可能性が広がるだろう。
一方で、導入が一気に進むとは限らない。
β版は登録審査制であり、セキュリティや内部統制を重視する企業ほど慎重な検討が求められそうだ。
また、法制度や会計基準の整理が進まなければ、JPYCを本格導入する判断が難しい企業も存在すると考えられる。
それでも、日本円建ステーブルコインの発行規模拡大が見込まれる中、企業システムと自然に接続できる管理基盤の整備は不可欠だ。
アステリアが培ってきた企業向けデータ連携の強みが、JPYC普及の後押しとなるかどうかが、今後の注目点となりそうだ。
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