ラクス「楽楽販売」がAIで進化 提案止まりの設計を実環境へ自動構築

2025年12月18日、日本のSaaS大手ラクスは、クラウド型販売管理システム「楽楽販売」に搭載する「アシストAI」機能のアップデートを発表した。AIが提案したデータベース構成案を、そのまま実環境に自動構築できる点が特徴である。
AI設計を即反映 楽楽販売が構築工程を短縮
ラクスは2025年12月17日より、「楽楽販売」のアシストAI機能を拡張した。今回のアップデートにより、AIが作成したデータベース構成案を、ボタン操作のみで実際のシステム画面として自動生成できるようになった。
2025年11月の初期リリースから約1カ月での機能進化となる。
従来のアシストAIでは、AIの支援範囲はExcel形式の設計案提示に留まり、実際の画面構築は利用者自身が行う必要があった。
新機能ではこの工程が省略され、生成された構成案がそのまま「楽楽販売」上に反映される。完成形を即座に操作できるため、導入初期から具体的な運用イメージを掴みやすい点が特徴だ。
また、AIが作成した“たたき台”を基に、サポート担当者と内容を確認しながら構築を進められる点も強化された。
システム構築に不慣れな企業でも迷いにくく、導入相談から設定までをスムーズに進行できるとされる。なお、本機能は追加費用なしの標準機能として提供される。
現場主導DXを後押し 効率化とAI依存の境界線
今回のアップデートは、業務システム構築の主導権をIT部門から現場へと近づける可能性がある。
設計から実装までの時間を短縮しやすくなることで、業務改善の仮説検証をより迅速に回せる点は、一つのメリットと捉えられる。
人手不足が深刻化する中、SaaSにおける「構築の自動化」は、競争力を左右する要素の一つになりつつある。
一方で、AIが提示する構成を前提に進めることで、業務特有の要件が十分に反映されない恐れも否定できない。
自動化の利便性と、人による最終判断をどう組み合わせるかが、今後の運用における重要な論点となる。
ラクスが掲げる、2026年内の「要件化アシストAI(※)」構想は、こうした課題にどこまで応えられるかが注目点となりそうだ。
将来的に、業務フロー整理から環境構築までをAIが一貫して支援できるようになれば、専門知識を持たない企業でも高度なシステム運用に近づく可能性がある。
今回のアップデートは、その方向性を示す取り組みの一つとして位置づけることができる。
※要件化アシストAI:業務内容や目的をもとに、必要なデータ項目や処理フローをAIが整理・定義し、システム要件として具体化する支援機能。業務システム構築の高度化と省力化を目的とする。
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