ANAP、ビットコインを追加取得 保有総数は約1,218BTCに拡大

2025年12月17日、東証スタンダード上場のANAPホールディングスは、子会社ANAPライトニングキャピタルによるビットコイン追加取得を発表した。日本企業による暗号資産活用が進む中、同社の財務戦略が新たな局面を迎えている。
ANAPライトニングキャピタル、約18BTCを取得
ANAPライトニングキャピタルは12月16日付で18.6424BTCを取得し、取得金額は約2億5,003万円となった。これにより保有総数は1,218.8502BTCに達し、1BTCあたりの平均取得額は約1,493万円となる。
同社の総投資額は182億円超に及び、12月16日時点の評価損益は約17億円のマイナスとなっている。内訳として、2025年8月期までに計上した利益は12億円強、当年度帰属分は約29億円の損失計上となる見込みである。
ANAPホールディングスは、若年層女性向けファッションブランド「ANAP」を展開するほか、投資関連事業や美容サロン関連事業も傘下に収める持株会社である。
今年4月に持株会社体制へ移行し、株式会社ANAPライトニングキャピタル、株式会社AEL、株式会社ARFなどを新設し事業の多角化を進めてきた。
同社の川合林太郎代表取締役会長兼社長は、ビットコイン関連会社フルグル合同会社のCEOおよび「Tokyo Bitcoin Base」運営会社BH Tokyoの代表取締役兼CEOも務める。
さらに、ANAPホールディングスは11月21日に企業向けビットコイン戦略支援サービス「ANAP ビットコイン道場」の提供も開始している。
企業財務にビットコインを組み込む意義と潜在リスク
ANAPの動きは、ビットコインを単なる投機対象ではなく、長期的な財務資産として位置づける試みだろう。インフレ耐性や希少性を評価する企業にとって、法定通貨とは異なる価値保存手段を持つ意義は小さくない。
一方で、価格変動の大きさは依然として最大の課題である。
短期間で評価額が大きく変動するため、財務諸表への影響や投資家からの評価には慎重な説明が求められる可能性が高い。含み損が発生した局面では、経営判断の妥当性が問われる場面も想定される。
また、暗号資産を保有する企業が増えれば、会計基準や開示ルールの整備が一層重要になるだろう。透明性の高い情報開示がなければ、市場からの信頼を維持することは難しい。
ANAPが損益を詳細に区分して公表している点は、その布石と見ることもできる。
今後、同社の取り組みが他の上場企業に波及するかどうかは、長期的な成果次第だろう。ビットコイン価格の推移と事業多角化の進展が噛み合えば、企業財務における新たな選択肢として定着する可能性もありそうだ。
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