日本HPがAI PC体験拠点を期間限定開設 クリエイター支援戦略が次段階へ

2025年12月16日、日本HPは次世代AI PCを体験できるポップアップスペース「HP AI Lifestyle Cafe」を東京・六本木ヒルズで開設した。40TOPS超のNPUを搭載したAI PCを前面に、国内クリエイター層への訴求を強める取り組みとなる。
日本HP、六本木でAI PC体験型カフェを開設
日本HPは、六本木ヒルズ ヒルサイド2階のヒルズ カフェ/スペースにて、次世代AI PCを体験できる「HP AI Lifestyle Cafe」を12月25日までの期間限定で開催している。ECサイト販売が中心となるAI PCを実機で確認できる場を提供する目的で、今回が2回目の実施となる。
会場では、40TOPS以上のNPU(※)を搭載したPCを「次世代AI PC」と位置づけ、OmniBookをはじめ、Intel Core UltraシリーズやAMD Ryzen AIシリーズを採用した複数の機種を試用可能とした。専門スタッフが常駐する購入相談カウンターも設けている。
生成AI活用の鍵となるプロンプトに焦点を当てた企画も用意されている。SNSで人気を集めるインフルエンサーによるAIを活用したコンテンツ作成を体験できる「AIを動かす魔法の言葉展」や、クリエイター/インフルエンサーによるAIプロンプト活用に関するトークイベントが開催される。
また、「HP AI Lifestyle Cafe」の来場者のみ入手可能な特典として「AIを動かす言葉=AIプロンプト」を提供する。
会場内でPCを購入した来場者を対象に、Amazonギフト券が当たる抽選企画も用意された。
※NPU:Neural Processing Unitの略。AI推論処理に特化した演算装置で、CPUやGPUと比べ低消費電力かつ高速に生成AIや画像認識などの処理を行える。近年はAI PCの中核技術として注目されている。
AI PCは創作を変えるか 期待と課題が交錯
日本HPがクリエイター層に照準を合わせる背景には、拡大を続けるクリエイターエコノミーの存在がある。国内市場は2024年に2兆円規模へ成長しており、制作効率を高めるツールへの投資意欲は今後も高水準で推移するとみられる。
NPU搭載AI PCのメリットは、画像生成や編集支援といった処理をローカルで高速に実行できる点にある。クラウド依存を抑えることで、作業スピードやプライバシー面の安心感が向上する可能性がある点は評価できる。
一方で、AI PCの価値が十分に理解されなければ、高価格帯製品として敬遠されるリスクも残る。生成AIを使いこなすには、プロンプト設計など新たなリテラシーが必要となり、導入効果が見えにくい層も存在すると考えられる。
体験型イベントを通じて理解を促す今回の施策は、そのギャップを埋める試みと言える。AI PCが単なる高性能端末を超え、創作の相棒として定着するかどうかが、今後の普及を左右することになりそうだ。











