フリーランス案件探しは対話型へ レバテックがAIチャット検索をβ提供

2025年12月17日、レバテックフリーランスは、会話形式で希望条件を伝えるだけで案件を探せる「AIチャット案件検索(β版)」を国内向けに提供開始した。業界最大級の案件データと生成AIを組み合わせ、フリーランスの案件探索体験を大きく変える試みである。
レバテック、会話入力で案件抽出するAI検索を開始
レバテックフリーランスを運営するレバテックは、エンジニアが自然な文章で希望を伝えるだけで案件を探せる新機能を公開した。従来の条件選択型検索とは異なり、「リモート中心でデータ分析に関わりたい」といった曖昧な表現でも、その意図をAIが解析する点が特徴となる。
本機能では、LLM(※)が入力文を意味レベルで理解し、稼働日数、報酬、技術スタック、勤務地など複数条件を自動整理する。検索対象は、約20年にわたり蓄積された業界最大規模の案件データベースで、希望条件に近い案件を迅速に抽出する仕組みだ。
さらに、Anthropic社が提唱するMCP(※)を活用したセマンティック検索を採用し、単純なキーワード一致ではなく、文脈に沿ったマッチングを可能にした。MCPサーバーの設定情報も公開されており、個人のAIエージェントから直接利用できる点も特徴的である。
ITフリーランス市場の拡大により案件数が増える中、「情報過多で選べない」という課題に対する解として、検索プロセスそのものを刷新する狙いがある。
※LLM:大量の文章データを学習し、文脈や意図を理解する大規模言語モデル。
※MCP:AIが外部データや機能と文脈を保ったまま連携するための共通プロトコル。
効率化の先にある価値と、AI検索依存の課題
AIチャット案件検索のメリットとしてまず挙げられるのは、案件探しにかかる時間や心理的負担を軽減できる可能性がある点だ。
条件整理をAIに委ねることで、フリーランスはスキル研鑽や条件交渉など、より付加価値の高い活動に時間を割きやすくなると考えられる。
特に複数条件を同時に検討する必要がある中堅層にとっては、一定の実用性を持つ仕組みと言えるだろう。
一方で、AIが提示する案件に過度に依存するリスクも指摘できる。
提案ロジックが可視化されていない場合、選択肢が知らず知らずのうちに限定される可能性は否定できない。
β版である現段階では、精度や網羅性の面で今後の改善が求められる局面にある。
今後、対話型検索が広く普及すれば、案件探索の起点は「条件入力」から「意図共有」へと移行していく可能性がある。
その成否は、AIによる提案の透明性と、ユーザーが最終判断を主体的に行える設計をどこまで両立できるかに左右されるだろう。
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