松尾研発「Athena」、完全オンプレLLM構築を提供 DGX Spark活用でセキュアAI導入を高速化

松尾研発スタートアップである株式会社Athena Technologiesは、NVIDIAのパーソナルAIスーパーコンピューター「DGX Spark」を活用した「完全オンプレミスLLM構築アドバイザリーサービス」を開始したと発表した。
機密データを扱う国内企業向けに、最短2週間で安全な生成AI環境の導入を支援する。
DGX Spark活用の完全オンプレLLM構築を開始
2025年12月17日、Athena Technologiesは、自社で導入したNVIDIA「DGX Spark」で得た実運用の知見を基に、環境構築から運用までを一貫支援する「完全オンプレミスLLM構築アドバイザリーサービス」を立ち上げたと発表した。
クラウドにデータを出せない企業の需要が高まる中、LLMをローカル環境で稼働させたい企業の要望に応える形になる。
背景には、金融、医療、防衛、製造といった領域で、極秘データを外部へ送信せずに生成AIを活用したいというニーズの拡大がある。
デスクトップサイズで高性能なAIスパコン「DGX Spark」の登場で機材調達のハードルは下がったが、実際の構築にはAIインフラの専門知識が不可欠で、技術人材の不足が導入の障壁になっていた。
Athenaは、ハードウェア選定からLLM実装、RAG(※)構築までを伴走し、閉域網内で完結するセキュア環境を設計する。
特に、同社が自社プラットフォームで蓄積したトラブルシューティングや最適設定のノウハウを提供できる点が特徴だ。
企業ごとの業務要件に応じた特化型モデルの調整も行い、現場で即戦力として使えるAI環境へ仕上げる。
※RAG:Retrieval-Augmented Generationの略。外部データ検索を組み合わせて生成精度を高める手法。
機密領域のAI適用が加速 導入拡大へ課題と期待が交錯
完全オンプレ型AIは、セキュリティ要件の厳しい企業にとって有力な選択肢となると考えられる。
重要インフラでは設備データを外部へ出さずに保守業務を効率化でき、金融機関では行内ネットワークのみで稟議作成支援AIを運用することが可能になる。
防衛や公共分野でも、監視データや作戦記録を閉域下で高速処理できるメリットは大きいだろう。
一方で、オンプレミス環境には運用負荷やメンテナンスコストが伴う。
GPUリソースの最適化やモデル更新、MLOpsの整備などは継続的な対応が必要になるため、外部支援の有無が導入速度を左右するだろう。
Athenaのように、実機ベースの知見を持つ事業者が増えれば、企業の負担は大きく軽減される可能性がある。
今後は、各業界のデータ特性に応じたAIモデルの需要がさらに増し、クラウド利用が難しかった領域でも生成AIの活用範囲が広がることが予想される。
オンプレAI基盤の整備が進めば、セキュリティ要件を満たしながら高度なAI活用を行う企業は今後増加するかもしれない。
株式会社Athena Technologies プレスリリース
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