ソニーNC、世界最大級SNSデータでファン理解を刷新 感情起点マーケティングが実装段階へ

2025年12月15日、ソニーネットワークコミュニケーションズは、Meltwater Japanと連携し、世界最大規模のSNSデータを活用したファンエンゲージメント支援ソリューションの提供開始を発表した。企業のファンマーケティング施策の高度化を狙う動きである。
ソニーNC、SNSデータ活用のファン支援を本格展開
本ソリューションは、30以上のSNSと約1億5,000万のWebサイトから取得されるグローバルデータを基盤に、ファンの投稿や反応をリアルタイムで収集する仕組みを備える。
日本製ツールでは取得が難しい海外SNSにも対応し、国境を越えたファンの動向を可視化する点が大きな特徴だ。
取得したデータは、投稿量の時系列変化や話題の論調、ファンコミュニティの構造分析などに用いられる。これにより、従来のアクセス数や購買数中心の指標では捉えきれなかった感情の揺らぎや熱量を把握できるようになる。
さらに、予測分析AI「Prediction One」や感性分析AI「SENZAI」を組み合わせ、ファンの反応や購買需要を予測する分析も可能である。SNSとECデータを横断的に扱うことで、施策前後の効果測定も精緻化される。
分析結果は広告企画やSNS運用、VR/ARを活用した体験型イベント設計などに直結する。戦略立案から実行、改善までを一気通貫で支援する体制を整え、ファンマーケティングの実務レベルでの活用を後押しする構えである。
感情起点マーケティングの加速と期待される影響
本件の最大のメリットは、ファンを「数」ではなく「感情」で捉える視点が企業活動に組み込まれる点だろう。
共感や熱量を起点に施策を設計できれば、短期的な話題づくりに終わらない関係構築が可能になると考えられる。グローバル市場においても、文化差を踏まえた精度の高いコミュニケーションが可能となり得る。
一方で、SNSデータへの依存が高まることで、分析結果の解釈力が企業側に求められそうだ。
感情データは変動が激しく、誤読すれば施策の方向性を誤るリスクもある。AI分析を鵜呑みにせず、人の判断を組み合わせる運用が不可欠になるだろう。
また、炎上検知や競合比較といった機能はリスク管理の高度化に寄与する反面、監視的な印象を与える可能性も否定できない。ファンとの信頼関係を損なわない透明性ある活用が重要と言える。
今後は、ファンが購買者から共創者へと変化する流れがさらに強まるだろう。
感情起点のデータ活用が標準化すれば、日本企業のグローバルブランド戦略そのものを底上げする契機になる可能性がある。
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 ニュースリリース
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