JALふるさと納税、AIで返礼品選びを刷新 5周年で「発見型寄附」へ進化

2025年12月16日、JALUXとジーニーは「JALふるさと納税」に新機能「AI返礼品診断」を導入した。サービス開始5周年の節目に、AIを活用して返礼品選びの体験価値を高める国内向けの新たな取り組みである。
JALふるさと納税、AI返礼品診断を正式導入
JALUXは、運営する「JALふるさと納税」において、返礼品選択を支援する「AI返礼品診断」を新たに提供開始した。本機能は、ジーニーが開発・提供するWeb接客ツールGENIEE CHATの新機能「AI AGENT CHAT(※)」を活用したもので、会話型AIがユーザーの回答内容を解析し、返礼品候補を提示する。
ふるさと納税市場では返礼品数の増加により、検索やランキングだけでは選びきれない状況が常態化している。今回の診断機能は、ユーザーの潜在的な好みや価値観に着目し、通常の検索では埋もれがちな地域の逸品や名品を提示する点に特徴がある。
操作は4問に答えるだけで完了し、チャット形式で直感的に利用できる設計だ。さらに、返礼品そのものだけでなく、自治体の背景や地域の魅力といった文脈も併せて紹介することで、「モノ選び」と「地域との出会い」を同時に提供する。5周年記念特設ページ上で公開され、寄附体験の質的向上を狙った施策として位置づけられている。
※AI AGENT CHAT:ジーニーが提供するGENIEE CHATに搭載された会話型AI機能。固定シナリオに依存せず、ユーザーの入力に応じて自動生成で応答し、パーソナライズされたWeb接客体験を実現する。
AIが変える寄附体験 利便性向上と設計力が成否を分ける
AI返礼品診断のメリットとして注目されるのは、寄附者の意思決定負荷を軽減しつつ、新たな選択肢との出会いを促す点にある。
短時間で自分の嗜好に近い候補が提示されることで、寄附までの心理的なハードルが下がるケースも考えられ、結果として利用体験の向上につながる可能性がある。
自治体側にとっても、これまで露出機会が限られていた返礼品を訴求できる余地が広がるだろう。
一方で、AIによる推薦は設計次第で偏りが生じるリスクを内包する。
推薦ロジックが特定ジャンルや人気地域に集中した場合、多様な地域を応援するというふるさと納税本来の価値が弱まる懸念も否定できない。
そのため、AIの判断基準や改善プロセスをどのように運用していくかが重要な論点となる。
今後、GENIEE CHATの他エージェント機能と組み合わされば、ふるさと納税サイトは単なる寄附窓口にとどまらず、対話を通じて選択を支援する体験型プラットフォームへと発展する可能性がある。
AI活用をどこまで体験設計に落とし込めるかが、今後のポータル間競争における差別化要因の一つになると考えられる。
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