サイバーエージェントGEOラボ調査 10代AI検索、ゼロクリック7割

2025年12月15日、サイバーエージェントのGEOラボは、GoogleのAI Overviewに関する国内ユーザー調査結果を発表した。10代では7割超がゼロクリック検索を行う一方、AI回答内リンクのクリック率も高く、検索行動の構造変化が明らかになった。
10代のゼロクリック検索73%、AI概要が検索の中心に
サイバーエージェントは、全国の10代から60代の男女9,278人を対象に、GoogleのAI Overview(※)の利用実態を調査した。その結果、検索結果画面のみで行動を終えるゼロクリック検索(※)の割合は全体で63.2%に達し、10代では73.6%と突出して高い数値を示した。若年層ほど、AIが提示する要約情報を起点に効率的な検索行動を取っている実態が浮かび上がる。
同社はあわせて、1,030キーワードを対象にAI Overviewの表示状況を定点観測している。日本で全ユーザー向けに表示が始まった2025年3月以降、6月には表示率が77%まで上昇したが、その後は最適化が進み、10月には34%まで低下した。AI概要は万能的に表示される存在から、適切な検索意図に応じて提示される仕組みへと移行している。
注目すべきは、ゼロクリックが進む一方で、AI Overview内に表示されるリンクのクリック行動も活発である点だ。リンクを「時々」「よく」クリックすると回答したユーザーは全体で54.2%、10代では66.1%にのぼった。AI概要は検索行動の終点であると同時に、深掘りの入口としても機能していることが示された。
※AI Overview:Google検索で表示される生成AIによる要約回答機能。検索結果の上部や中段に表示される。
※ゼロクリック検索:検索結果ページのみで目的を達し、外部サイトを訪問しない検索行動。
利便性の進化と可視性低下 AI検索時代の光と影
AI Overviewの普及は、ユーザーにとって検索効率を高める大きなメリットをもたらしている。
特に若年層では、要点を把握した上で、必要に応じてリンク先へ進むという行動が一定程度広がっていると考えられる。検索は単なる情報収集から、次の行動を選択するプロセスへと役割を広げつつある。
一方で、企業やメディアにとっては無視できない課題も浮上する。
検索結果から直接流入を得る従来型のSEOや広告モデルは、相対的に影響力が弱まる可能性がある。
AIに要約される情報の提供元として選ばれなければ、ユーザーの接触機会が減少するリスクも指摘される。
今後は、生成AIにどのように引用され、どのように評価されるかを意識した情報設計が、重要性を増していくとみられる。
GEOという新たな最適化の考え方は、広告・広報戦略の一要素として組み込まれていくだろう。
AI検索は脅威であると同時に、新たな接点を生み出す基盤でもあり、その活用次第で競争環境に差が生じる可能性がある。
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