当別町の自治体情報AI検索に生成AI導入 Cogmo活用、北海道初

2025年8月、北海道石狩郡当別町は、公式Webサイトに北海道内で初となるChatGPTと連携したAIサイト内検索「Cogmo Enterprise 生成AI」を導入した。提供元は株式会社アイアクトである。
当別町、AI要約型サイト内検索「Cogmo」を正式導入
アイアクトは2025年12月16日、当別町の公式Webサイト内検索に「Cogmo Enterprise 生成AI」が導入されたと発表した。本取り組みは、ChatGPTと連携したAI検索を自治体サイトに実装するもので、北海道内では初の事例となる。
従来のサイト内検索では、利用者が適切なキーワードを考える必要があった。一方、Cogmoでは文章のまま質問でき、生成AIが関連ページを横断的に参照し、検索意図に沿った回答を要約して表示する。これにより、検索リテラシーに依存せず、誰でも必要な情報へ到達しやすくなった。
導入後の効果として、2025年8月から9月末までの検索結果画面閲覧数は、前年同期間比で約1.5倍に増加している。さらに、検索精度の調整は管理画面から簡単に行えるため、専門知識を持たない職員でも運用可能だ。住民への情報提供力向上と、運用負荷の抑制を両立した点が特徴と言える。
利便性向上の一方で問われる設計力 自治体AI検索の展望
生成AI検索の大きなメリットの一つは、「探す」行為そのものを短縮し、住民が比較的短時間で答えにたどり着ける点にある。
行政情報は複雑かつ分散しがちだが、要約回答を用いることで、情報理解のハードルを下げられる場面も増えると考えられる。
高齢者や移住検討者にとっても、有効な情報接点となる可能性は高い。
一方で、生成AIの要約結果が常に最適とは限らない点には注意が必要だ。
文脈の省略や表現の簡略化によって、意図せず誤解を招くケースが生じる余地もある。そのため、RAG型(※)による参照元の明示や、人が結果を確認・調整できる運用設計を組み合わせることが重要になる。
今後、自治体WebサイトにおいてAI検索が標準的な選択肢の一つとなる可能性はある。
単なる技術導入にとどまらず、住民との情報接点をどのように再設計するかが、自治体DXを進めるうえでの重要な論点になっていくとみられる。
※RAG型:生成AIが外部データや既存文書を参照し、その内容に基づいて回答を生成する仕組み。誤情報の抑制や説明責任の確保に適している。
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