Zoom、AI Companion 3.0を発表 会話を読み取り行動を起こすエージェント

2025年12月15日、米Zoom Communicationsは、エージェント型AIを備えた「AI Companion 3.0」を発表した。
会話内容を起点に業務を自動化する設計が特徴で、ミーティング中心のツールから行動実行型の能動的機能を備えるサービスへと深化する。公式リリースで明らかにされた。
Zoom、AI Companion 3.0で「会話から実行まで」を一気通貫で支援
Zoomは、AI Companion 3.0を通じて「会話から実行まで」を一気通貫で支援する構想を打ち出した。
最大の特徴は、会議やチャットの文脈を理解し、次に取るべき行動をAIが提示・実行するエージェント型ワークフローである。
AIは人の指示を待つだけでなく、会話や状況を理解してフォローアップや要約送付を自律的に行うことができる。
また、Google DriveやMicrosoft OneDriveといった連携済みサードパーティアプリからも情報を検索でき、Gmailにも近日対応する予定だ。
新たに公開されたWebインタフェースでは、ユーザーが個別に議事録や資料をアップロードする必要はなく、Zoom上の会話データを横断的に活用できる。
技術面では、Zoom独自のLLMやSLMに加え、OpenAIやAnthropic、NVIDIAのオープンモデル「Nemotron」などを組み合わせる構成を採用した。
これにより、高精度な文字起こしや翻訳を基盤に、タスク抽出や文書生成の精度を高めている。
プロダクト責任者のVelchamy Sankarlingam氏は、本リリースを「AIコンパニオン3.0のリリースは、Zoomにとって転換点となる。会議ソリューション企業から、AIファーストのインテリジェントワークオーケストレーションの先駆者へと変革を続ける当社の取り組みを推進するものだ」と表現している。
利便性と管理リスクの両立が鍵
AI Companion 3.0は、生産性向上の面で大きなメリットをもたらす可能性がある。会議後のフォローアップ作成、日次レポートの自動生成、関連資料の横断検索などをAIが担うことで、知的労働者は意思決定や創造的業務に集中しやすくなるだろう。
実際、OracleやG42といった企業幹部は、会話が具体的な次のアクションへ変わる点を評価している。
一方で、AIが業務全体を横断的に扱う設計は、情報統制や運用設計の重要性も高める可能性がある。
Zoomは「顧客データを学習に利用しない」と明言し、通信の暗号化や責任あるAI運用を強調しているが、エージェント型AIの判断範囲が広がるほど、企業側にはガバナンス整備が求められるだろう。
AI Companion 3.0は、自律的なエージェントAI開発において、利便性と管理体制の成熟度が競争力を左右する段階に入ったことを示す象徴的な事例と言える。
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