新日本製薬、テックタッチのAIで顧客の意見活用を自動化 コールセンター業務と商品開発が同時進化

2025年12月16日、テックタッチは新日本製薬がAIエージェント「AI Central Voice」を採用したと発表した。
国内化粧品市場で顧客満足度を左右するVoC活用をAIで高度化し、コールセンター業務の効率化と事業成長の両立を狙う。
新日本製薬、通話データ解析をAIで自動化
テックタッチは12月16日、新日本製薬がデータ戦略AIエージェント「AI Central Voice」を導入したと明らかにした。
同社によると、主力ブランド「パーフェクトワン」はオールインワン市場9年連続シェアNo.1を維持しており、顧客の声を軸にした商品開発とロイヤリティ向上を経営戦略の中核に据えている。
導入の背景には、コールセンターに蓄積される大量の通話データの扱いがある。従来はオペレーターが通話後に記録入力を行っており、記録入力や情報整理などの付随業務、アフターコールワーク(ACW)の増大が業務負荷となっていた。
一方で、通話内容に含まれる顧客の意見、VoC(Voice of Customer)を事業に十分活かしきれていない点も課題だった。
こうした課題に対し、「AI Central Voice」は音声データを自動でテキスト化・要約・分類し、VoCや商談情報を高精度に構造化することで対処する。
これによりACW削減とデータ活用基盤の確立を同時に実現し、インサイドセールス活動や研究開発へのフィードバックを加速させる狙いだ。
AI活用の波及効果
今回の導入により、新日本製薬は業務効率とデータ価値の両面で成果を得られる可能性がある。ACW削減によってオペレーターが顧客対応に集中できれば、応対品質の向上や人件費抑制につながると見込まれる。
また、成功事例や顧客属性を横断的に分析することで、営業活動の再現性向上も期待できる。
一方で、AIによる自動解析への依存が進むほど、分析ロジックの妥当性やデータ品質管理が重要になると考えられる。
誤った要約や分類が意思決定に影響を及ぼすリスクも否定できない。そのため、人の判断とAIの役割分担をどう設計するかが今後の焦点となるだろう。
顧客接点データを経営資源としてAIで自動化しつつ利用する動きは、顧客の声をどう反映させるかという問題や、高騰する人件費への対応策の一つとなりえる。
VoCを起点としたAI活用が、単なる効率化を超えた競争力の源泉となるか、新日本製薬の取り組みに引き続き注目したい。
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