コロプラ『神魔狩りのツクヨミ』生成AI大賞受賞 AI中核「生成ゲー」が評価

2025年12月15日、コロプラが提供する『神魔狩りのツクヨミ』が「生成AI大賞2025」でグランプリを受賞した。日本国内のアワードにおいて、生成AIをゲーム体験の根幹に組み込んだ点が高く評価され、新ジャンル「生成ゲー」が誕生される形となった。
『神魔狩りのツクヨミ』が生成AI大賞2025グランプリを受賞
生成AI大賞2025は、Generative AI Japanと日経ビジネスが共催し、生成AIの社会実装における優れた事例を表彰するアワードである。第2回となる今回は、ゲーム分野からコロプラの『神魔狩りのツクヨミ』が最高賞のグランプリを獲得した。
本作は、ゲームクリエイター金子一馬氏の画風や創造性を学習した独自AI「AIカネコ(※)」を開発し、プレイヤーの行動に応じて世界に一枚だけのカードを生成する仕組みを実装している。生成AIを制作支援にとどめず、「遊び」そのものに組み込んだ点が特徴だ。
エンターテインメント領域では課題となりやすい権利処理についても、学習データの設計段階からクリアにした上で運用しており、クリエイターとAIの共存モデルを構築した点が評価された。リリースから約2カ月で160万種類以上のカードが生成された実績や、開発期間を従来比で約半分に短縮した点も、技術と運営の両面での成果として挙げられている。
※AIカネコ:『神魔狩りのツクヨミ』向けに開発された独自生成AI。金子一馬氏本人の関与のもと、画風や発想を学習させており、権利処理と運用ルールを明確化した設計が特徴とされる。
生成ゲーが示す可能性と課題 共創モデルは次の標準となるか
今回の受賞は、生成AIがクリエイターの代替ではなく、創造性を拡張する存在となり得ることを示唆する事例と捉えられる。膨大なバリエーションを短期間で生み出せる点は、開発効率の向上やユーザー体験の拡張に寄与する可能性がある。
一方で、生成物の価値や責任の所在をどのように設計するかについては、引き続き慎重な議論が求められる。透明性やガバナンスの設計次第では、ユーザーの不信感につながるリスクも否定できない。
それでも、「生成ゲー」という概念が一つの評価軸として提示された点は注目に値する。今後、他社や他ジャンルへ広がれば、日本発エンターテインメントにおける生成AI活用は、新たな競争フェーズに入る可能性がある。
関連記事:
AIフル活用のローグライクカードゲーム 元アトラスの金子氏が手がける『神魔狩りのツクヨミ』、5月7日コロプラから配信

ゲーミンキャット、AI恋愛ホラー『ERROR:Ai.lien』を2026年Steam配信












