AI翻訳が進化しても英語学習意欲は衰えず 85%が維持、2026年は「話す力」重視へ

2025年12月15日、AI英会話サービスを展開するスピークバディは、国内の英語学習経験者を対象とした調査結果を公表した。生成AIやAI翻訳が高度化する中でも、学習意欲は下がらず、むしろスピーキング力への関心が高まっている実態が日本国内のデータから明らかになった。
AI翻訳時代でも学習意欲は低下せず 85%が維持、2026年はスピーキング志向
スピークバディが実施した本調査は、英語学習の経験または意向を持つ20〜50代の国内439名を対象に、2025年12月5日から8日にかけて行われた。AI翻訳(※)の進化が学習意欲に与えた影響について、「意欲が高まった」「やや高まった」と回答した人は計54.0%に達している。
さらに「特に変わらない」を含めると、85.4%が「意欲は下がらなかった」と答えており、AI翻訳の精度向上が英語学習離れにつながっていないことが示された。理由としては、「自分で話せることに達成感を感じる」「直接会話する方が相手と親密な関係を築ける」といった回答が多く、翻訳技術が進化しても“自分の言葉で話す価値”は代替されにくいことがうかがえる。
2026年の学習予定については、70.2%が「取り組む予定がある」と回答した。学習目的の上位は「仕事で海外の人と交流する必要がある」「キャリアアップや転職のため」「海外旅行を楽しむため」であり、実務と体験の両面で英語の必要性が高まっている構図が浮かび上がる。特に、身につけたいスキルとしては「スピーキング力」が58.8%で最多となり、AI時代において“話す力”が最重要視されている点が特徴的である。
※AI翻訳:生成AIや音声認識技術を用い、文章や会話をリアルタイムまたは自動で他言語に変換する技術。近年は精度と自然さが大きく向上している。
AI時代に再評価される会話力 効率化の裏で残る学習設計の課題
今回の調査結果からは、英語学習が直ちに不要になるわけではなく、その意義や役割が変化しつつある可能性が読み取れる。
翻訳や文章生成がAIによって支援されるほど、人が担う価値は、即時性や感情を伴う対話といった領域に相対的に重心が移ると考えられる。
その文脈において、スピーキング力が重要なスキルとして意識され始めていると言えそうだ。
一方、学習手段として「AI英会話アプリ」が最多となった点は、話す練習を効率化できるという明確なメリットを示している。
ただし、AIを中心とした学習に偏った場合、文化的背景や非言語的な要素を十分に体得しにくくなる可能性も指摘できる。
利便性と実践的なコミュニケーション力をどう両立させるかは、今後の検討課題となるだろう。
今後は、AIによる個別最適化と、人との対話を組み合わせた学習設計が一層重要になるとみられる。英語学習は「翻訳で代替されるスキル」という見方から、「AI時代において相対的な価値が高まる能力」へと認識が移行していく可能性があり、2026年に向けてその傾向が広がるかが注目される。
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